解体 ロシア外交

2014年10月29日

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 最近、ISIS(「イスラーム国」)の動きが世界を脅かしている。米国のオバマ大統領が、国連総会で「人類が直面している脅威又は課題を数え上げるに、一番目にはエボラ出血熱を挙げ、これは妥当だとして、二番目にロシア連邦を挙げ、三番目にやっとISISを挙げた」ことを、ロシアのメドヴェージェフ首相が揶揄し、「何か(オバマ氏の)脳に異常があるんじゃないのか」と述べたことは色々な含みをもって報じられた。ウクライナと一応の停戦状態を維持しているロシアをISISより恐れている米国への嘲笑、そして、公に「脳に異常」などという発言をするメドヴェージェフ首相の品位への疑問などがあろう。

 いずれにしても、この発言からもやはり世界の脅威として、ロシアとISISが強く認識されていることは間違いない。本稿ではこの二つの世界の脅威、ロシアとISISの関係を探ってみたい。

「ISIS(イスラーム国)」とは

 最近、毎日ニュースで報じられるISIS。それはもちろん、国家承認を受けた正式な主権国家ではない。2014年6月29日に、その最高指導者アブ・バクル・バグダディが樹立を宣言したシャリア(イスラーム法)に基づく、スンニ派のカリフ(イスラーム教開祖・ムハンマドの正統な後継者)制を掲げる自称のイスラーム「国家」である。そして、バグダディはカリフを自称している。同「国」は、英語でISIS(The Islamic State of Iraq and al-Sham 、ないし、The Islamic State of Iraq and Syria)やISIL(The Islamic State of Iraq and the Levant)と呼ばれている。レバントとは、地中海東部の沿岸地域を意味し、ISISよりISILの方がより広範な国家ということになり、最終的にはレバントまで至る領域での国家樹立を目指している。

 ISISの母体は、2003年のイラク戦争後に結成されたアルカイダ系過激派組織だと言われているが、反欧米ジハードを掲げて活動を続け、2011年に拡大したシリア内戦に参加するとシリアや周辺国のスンニ派武装派と共闘しつつ急速に勢力を拡大した。その頃から、イラク・シリアを領土とするイスラーム国家樹立を目指すようになり、アルカイダとも方針の違いから分裂し、2014年にあっという間にイラク・シリアの広い範囲を勢力下に収めた。

 本稿では詳細には触れないが、残虐な手段での殺害や処刑、拷問、誘拐、女性の売買・戦闘員との婚姻の強制・性奴隷化など多くの反人道的行為を繰り返している。米軍の空爆を受けてもなお、強い勢力を維持しており、もはやISIS関連のテロは欧米にまで波及しはじめている。

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