解体 ロシア外交

2014年10月29日

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ロシアの立場とイランとのタッグ

 それではISISに対してロシアはどのような立場をとっているのだろうか。ロシアは一貫して、ISISに対しては強く批判する姿勢をとっている。それは、ISISがイラクのみならず、ロシアが支援してきたシリアのアサド政権をも脅かしているだけでなく、後述の通り、イスラーム運動の拡大はロシア自身にとっても深刻な脅威となるからだ。

 だが、ロシアは米国主導のISIS政策には反対する一方、イランとは協調路線を維持してきた。特に、米国によるISISに対する空爆には激しく反発している。

 たとえば、9月19日に国連安全保障理事会で、ISISを批判する議長声明が出されたときにも、ロシアとイランは共に、ISISへの強い懸念を表明する一方で、米国のシリア領内での空爆には反対姿勢を示した。イランのアラグチ外務次官は、「地域の窮状を救う真の主導権は地域内から出てくるべきもので、地域間の協調も必要」と述べ、ロシアのチュルキン国連大使も、「国際的な対テロ作戦には、主権国の了承ないし安保理の承認が必要で、それ以外の方法は、国際社会や地域の安定を揺るがす」と主張した。

 ロシアとしては、米国の世界政治における「横暴」を防ぎたいだけでなく、米国による空爆が対ISISという目的を超えて、ロシアが支援してきたアサド政権の勢力圏などで行なわれ、結果、アサドを失脚させることにつながることを危惧しているのである。

 その一方で、9月22日にロシアのプーチン大統領は政府の安全保障会議に出席し、ISISへの対策を、国際法の枠組みの中で、他のパートナーと連携する可能性についても検討したが、その結論や具体的にパートナーとしてどの国が想定されたのかなどは明らかになっていない。

ISISで活躍する旧ソ連出身者?

 このようにロシアは米国には反発しているものの、やはりロシアにとってもISISが脅威であることは間違いない。

 実は、ISISではロシアから約500人が参加していると言われている。しかしその戦闘員の出身や実情は不透明だ。

 たとえば、チェチェン出身者を中心とする北コーカサスのイスラーム過激派は、シリアの内戦にはかなりの数が参加しているとされる一方、ISISへの参加については様々な見解があり、実態は不明である。

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