解体 ロシア外交

2014年10月29日

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 だが、どうやらこれは米国の「片思い」だったようである。10月25日の記者会見で、ラブロフが米国との「情報共有の強化にも、イラク戦闘員の訓練での協力にも合意していない」と発言したのだ。

 このケリーの動きからも、オバマ発言でのウクライナとISISの実際の脅威の順序は逆であると思われる。ウクライナ東部もまだ混乱が続いているとはいえ、一応の停戦が守られている以上、ロシアが今後、想定外の恐ろしいアクションを起こすことは考えにくい一方、ISISは想定できない恐ろしさを多く孕んでいる。そのため、ウクライナ問題で孤立を強いられたロシアにとって、ISISの存在は、ロシアが世界におけるポジションを取り戻すきっかけを与えてくれるかもしれない「救世主」だという見方すらある。

 だが、ロシアは共通する敵・ISIS対策でも米ロで協力することを拒否した。ロシアに対する制裁はまだ続いているなかで、米国に協力姿勢をとることは、ロシアの尊厳を傷つけるものになり得たと思われる。いずれにせよ、ISISとそれを取り巻く世界の動きは、これからの国際政治を読み解く大きなカギになりそうだ。

  
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