WEDGE REPORT

2014年11月5日

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有力大学がグローバル戦略で競うも、狙うのは文部科学省から支給される補助金。温室育ちのグローバル人材育成は「アームチェア留学」と揶揄され、人材像に対する企業と大学との間にあるギャップは大きい。

量の早稲田 質の慶應

 「全学部生を海外留学」(早稲田、立教、一橋大学)、「留学生倍増」(京都大学)とする華々しい目標を掲げる。

 海外に留学する学生の数は、2004年の8万2945人をピークに減少しており、10年には5万8060人にまで落ち込んだ。文部科学省はこの傾向の転換を図るため、14年度から20年度までに留学生数を12万人と倍増させる方針だ。

 「トビタテ! 留学JAPAN」と名付けた政策の実現のために77億円の予算を組み、民間企業とも協力して高校生や大学生を海外留学させる新しい奨学金制度を創設した。安倍晋三政権の成長戦略の柱の一つとして位置付けられ、文科省もかつてないほどの力の入れようだ。

 1学年の学生数が約1万人の早稲田大学は、12年度に語学研修などを目的とした短期と学業目的の長期を合わせての海外留学人数が1843人だったのを、16年度に4000人、22年度には8000人にまで大幅に増やし、原則として学部生全員を留学経験させるという構想を発表した。

 一つの大学が年間8000人もの留学生を送り出すのは容易ではないが、早稲田はこの構想の実現に全力を挙げる。内田勝一・副総長常任理事は「留学したい学生には阻害要因をできるだけ取り除いてやり、海外で経験をしてきてもらいたい」と話す。この4月に大学では最大クラスとなる約900人の日本人学生と外国人留学生が共に寝起きできる11階建ての国際学生寮が東京・中野区に完成、「留学しなくても、多くの外国人留学生と生活を共にすることで多様な価値観に触れることができる」と、寮生活を通じた交流効果を期待する。

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