エネルギー問題を考える

2014年11月20日

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石川和男 (いしかわ・かずお)

NPO法人社会保障経済研究所理事長

1989年東京大学工学部卒業後、通商産業省入省、電力・ガス改革に携わる。退官後、内閣官房企画官、規制改革会議WG委員などを歴任。

 第1は、「家庭のエネルギー消費に占める都市ガスの比率が約2割しかない」とのデータ解釈(図1)。家庭内のエネルギー用途の4割は、ガスでは代替不可能な照明や冷蔵庫などの動力。その数値を含めた母数で計算し、都市ガスの比率を2割と主張するのは、あまりにも変ではないか。

 第2は、「都市ガスの供給区域内世帯数における都市ガス利用世帯率(普及率)は7割しかない」とのデータ解釈(表1)。残りの3割の世帯は他燃料であるので競争が激しい、としている。電力から電力へ、都市ガスから都市ガスへ、といった同一エネルギー間の変更には費用負担は生じない。

 しかし、都市ガスから他燃料への転換には、機器や設備の変更で諸々費用が発生する。しかも、それが家庭消費者となれば、手続や工事の煩わしさが重くのしかかってくる。だから、都市ガスの供給区域内を都市ガスと他燃料が競合している市場と見るのは、特に家庭消費者にとっては暴論だ。せめて、既築世帯数ではなく、エネルギー選択が可能な建替や増改築件数のシェアを指標とするなど、競争環境のデータを見直す必要がある。

ガス価格が下がらない海外の自由化

 都市ガス自由化で先行する海外の動向に目を移そう。9月のガス小委で提示された欧州の家庭用ガス料金では、全面自由化後も軒並みガス料金は上昇している(図2)。

 そうした中、欧州の大半の国では上限価格となる規制料金が維持され、フランスやイタリアでは消費者のほとんどが安心できる規制料金に残っている実状が、ガス小委の委員が属する調査会社の報告書として今年7月に公表されている。また、日本エネルギー経済研究所は、08年のレポートで、原料価格(city-gate価格)以外の固定的な価格が値下がりしない事例を紹介しており、「家庭用の自由化は限定的な進展に止まっている」、「小売価格低下という目的は達成できていない」との報告をしている。自由化州と非自由化州が混在する米国でも、自由化の効果は見られない(図3)。

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