オトナの教養 週末の一冊

2014年3月28日

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東嶋和子 (とうじま・わこ)

科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師

元読売新聞科学部記者。フリーランスで環境・エネルギー、医療、生命科学、科学技術分野を中心に、科学と社会のかかわりを取材。主著に『名医が答える「55歳からの健康力」』(文藝春秋)、『人体再生に挑む』(講談社)など。新著に『水も過ぎれば毒になる 新・養生訓』(文春文庫)

 クリミア危機の裏側で、天然ガスをめぐるロシアとウクライナの確執がふたたび表面化している。

 ロシアはこれまでにも豊富な資源を飴や鞭として利用し、周辺諸国に影響力を行使してきた。ウクライナに対しても、価格を割り引いたかと思えば、今回は巨額の料金を請求した。ウクライナ経由パイプラインのガス供給停止も、まだ記憶に新しい。

 天然ガスの約3割をロシアに依存している欧州は、ロシア・ウクライナのガス紛争を教訓に、パイプラインのルートを分散化したり、ガス備蓄を増やしたりしてリスク分散を図ってきた。今回の報道を見ると、ウクライナ経由のガス輸入はかつての8割から6割程度に減らしてあったようだ。

 じつは、こうした構図がいま、大きな転換期を迎えている。米国発の「シェール革命」によって世界のエネルギー地政学が様変わりする。そう予測するのが、本書である。

エネルギー資源大国として
台頭しつつある米国

『シェール革命と日本のエネルギー』(十市勉 著、電気新聞ブックス)

 いうまでもなく、現在米国で起きている「シェール革命」は、「エネルギー分野における21世紀最大の技術革新」といわれるほど、インパクトの大きい“波”である。

 「それは、インターネットをはじめとするIT技術が私たちの社会や生活を大きく変えたように、世界のエネルギー事情に大きなインパクトを及ぼしつつあります」と、著者は論じる。

 まず、シェール革命は、化石燃料の資源枯渇論を後退させた。シェールガス、シェールオイルの腑存量は膨大で、これを開発すれば、石油の確認可採埋蔵量は従来の約40年から100年に、天然ガスは約60年から200年に伸びるという。

 シェール層からガスや原油を安く開発できるようになったため、米国内では天然ガス価格が大幅に下がった。貿易赤字の大きな要因である石油輸入量が急減、米国はエネルギー資源大国として台頭しつつある。

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