Diplomat誌のティエッツィ編集員が、10月23日付同誌ウェブサイトにて、10月20~23日に開催された中国共産党中央委員会第4回全体会議(4中全会)のコミュニケの中の「法治」に関する論点を解説し、「法治」は共産党の権威を高める手段である、と指摘しています。
すなわち、4中全会では、中国における「法治」に焦点が当てられ、中共中央委員会は、「法による国家統治の包括的前進」についてのコミュニケを発した。それには、実施の詳細は殆ど書かれていないが、中国の法制度改革に関する概要が示されており、4つの主要な論点が含まれる。
第1に、法制度に対する地方当局の統制を弱める方向性を打ち出した。コミュニケは、「巡回法廷」を創設するとしている。これは、地方の裁判所と地方の党指導者の直接的結びつきを断つことになろう。下級官僚は、法的手続きへの干渉により自己の利益を増進することが困難になる。「行政区域横断的な地域裁判所および検察院の設置を模索すること」も約束した。これも地方当局の法制度への統制を弱める重要な手段である。
第2に、政府の説明責任と透明性を向上させると約束した。コミュニケは、重大な決定に対して、「終生の説明責任」を負う制度、誤った決定に対して遡及的に責任を負わせる制度などを導入し、透明性も向上させるとしている。これらは、党と人民の結びつき方を変えることへの、習の関心に合致している。コミュニケは、政府が人民により責任を果たすことができるよう、検察官が公共の利益、特に、消費者保護と環境問題訴訟に関する訴訟を提起できるようにすることを約束した。そういう訴訟は、大企業と地方当局の癒着へのチェックとして機能し得る。
第3に、これまで通り、憲法の重要性が強調された。コミュニケは、憲法は「社会主義法制度」の「核」であると主張し、「法治を実現するには憲法に沿った統治がなされるべきである」「憲法の実施を保証する制度が、改善されなければならない」と言っている。特に、全人代と全人代常務委員会に対し、憲法の遵守に、より大きな役割を果たすよう求めている。しかし、4中全会が言う「法治」の実施は、共産党を憲法、法律の下に置くものではない。