ニッポンのファーブルが描いた
昆虫や植物の細密画

2009年8月12日~24日 松屋銀座8階大催場


辻 一子(つじ・いちこ)
岡山県生まれ。フリーライター。旅行会社のPR誌の編集者を経て、1998年からフリーランスに。旅の雑誌を中心に活躍。

今月の旅指南

全国各地で行われるお祭りや美術展、舞台、音楽会など、おもに和の心が楽しめる今月の催しを厳選してご案内いたします。(画像:iStock)

»最新記事一覧へ

「森のジュースに集まる虫たち」 *写真の無断転載を禁じます 

 花や虫を愛し、自然をテーマにした挿絵や絵本作品を数多く手がけてきた熊田千佳慕(ちかぼ)。数えで99歳の今も、ライフワークである「ファーブル昆虫記の虫たち」の完成を目指して、こつこつと絵筆を動かしている。

 そんな彼の代表作およそ220点を集めた展覧会が、8月12日から24日まで東京の松屋銀座8階の大催場で開催される。

 明治44(1911)年、横浜で生まれた千佳慕は、東京美術学校(現東京藝術大学)在学中から、日本の商業デザインのパイオニア山名文夫(やまなふみお)に師事。卒業を待たずにデザイナー・写真家集団「日本工房」に入社し、同僚のカメラマン土門拳らと数々の仕事を手がけた。

 戦後は絵本作家の道へ進み、『ふしぎの国のアリス』『みつばちマーヤの冒険』『オズの魔法使い』といった名作の挿絵や絵本を発表する。細い筆で1本1本繊細に描きこむ彼の作品は、完成までに1年も2年もかかる。そのため、金銭的には苦しい日々が続いたという。しかし、嘘やごまかしのない、徹底した観察に基づいたリアルな表現と、小さな命に対するやさしいまなざしは世界中の人々を魅了。ボローニャ国際絵本原画展で入選するなど、高い評価を受けた。また、フランスでは「プチファーブル」と称賛された。

 自然を愛し、貧しくとも自らの信念を貫いて、誠実に生きる彼の生き方もまた、今、多くの人の共感を得ている。生きる喜びにあふれた“千佳慕ワールド”に触れてみたい。

99歳の細密画家 プチファーブル・熊田千佳慕展
東京都中央区・松屋銀座8階大催場(東京メトロ銀座線銀座駅下車) 
〈問〉松屋銀座 03(3567)1211〔代表〕
http://www.matsuya.com/ginza/index.html

【関連記事】99歳画家“日本のファーブル”の極意・熊田千佳慕展・開催記念インタビュー

◆「ひととき」2009年8月号より

 

 

 


 

 

「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 
「今月の旅指南」

WEDGE Infinity S
ウェッジからのご案内

Wedge、ひととき、書籍のご案内はこちらからどうぞ。

  • WEDGE
  • ひととき
  • ウェッジの書籍