監査で発覚
中国での国有地売却で消えた15兆元!

土地バブル、ゴーストタウン問題の元凶


弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)  早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

中国メディアは何を報じているか

(写真:アフロ)

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中国の会計監査部門が全国各地で行った土地取引を巡る会計監査において驚くべき事実が発覚した。2008年から2013年の6年間に中国各地で行われた土地割譲を巡る資金に対して会計監査を行ったところ15兆元(当時レートで約240兆円)分の土地取引収入があったにもかかわらず、その行方に疑問が呈されているというものだ。多くが役人の懐に入った疑いがあるという。

 記事を見る前に土地割譲を巡る会計監査について少し説明しておこう。中国では全ての土地が国有地であるため、土地所有権の売買はできず、取引されるのは期限70年の使用権のみである。ということで厳密に言えば割譲、売却ではなく、土地使用権の譲渡ということになる(そこで以下では国有地売却と呼ばずに土地使用権の譲渡と称する)。

 ではなぜ中央政府の監査部門が地方での土地使用権の譲渡に関する取引の監査を行うのか。それは地方政府が農民や市民から土地を接収して開発業者に譲渡し、その収入を地方の財源にすると同時に、一部を中央政府に上納することになっているためだ。中央に申告せずに勝手に譲渡して上納しないとか、土地接収の際に立ち退きさせた農民や庶民への補償金を支払わなかったり、補償金が不当に低かったりと彼らの反発を呼び、集団騒擾事件に発展する場合もあるようだ。ただ再び断っておけば、こうした農民や市民が住んでいた元々の場所も彼らに所有権があったわけではない。

 今回の会計監査作業は8月中旬に着手され、2カ月半をかけて2008年から2013年の間に行われた土地割譲を巡る収支状況、非税収部分の資金管理状況が調べられた。『華夏時報』が報道して明らかになったが、記事の内容がショッキングだったために様々なメディアにフォロー、転載されている。そこで今回、この『華夏時報』による「2カ月半の土地監査が終了 15兆元の土地売却資金はどこにいった?」(ネット版11月7日)を紹介しよう。

土地使用権譲渡に関する全国規模の監査

 山西省国土管理部門の責任者が10月28日に明らかにしたところによると、この度行われた監査では、土地管理に関する政策策定のために土地使用権譲渡の資金が「どこからきてどこに行ったのか」という点に重点がおかれていた。しかし、彼が国土管理部門の責任者だからといって中央から送り込まれた監査グループと接触できるわけではなく、内容は知らされず監査作業は厳しく行われたとのことだ。

審計署はこれまで2007年、2009年、2011年に部分的地域において土地資金についての監査を行ってきたが、今回はこれまでとは異なり、全面的に行われたという。地方政府の規定違反や土地使用権譲渡資金の減免、譲渡資金の支払い引き延ばしは頻繁なようだ。河北省廊坊市では2009年に68項目の取り壊しプロジェクトがあったが、多くの村は当地国土資源部門に上納金を納めていなかった。ある村は少なくとも6億元(約84億円)を納める必要があったにもかかわらずだ。

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「中国メディアは何を報じているか」

著者

弓野正宏(ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

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