ウクライナ危機に「核戦争」への発展を危惧するゴルバチョフ

米国には「ペレストロイカが必要だ」


関屋泉美 (せきや・いずみ)

ロシア専門家。ロシア在住経験あり。

Inside Russia

2011年12月の下院選挙以降、度々起こった反政権デモが話題となっているロシア。国内で今何が起き、国民は何を感じているのか。日本ではなかなか得られない情報でありながら、日本人が知っておくべきことを、ロシア在住のジャーナリストが詳細にレポートする。

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ゴルビーが、ロシアと欧米諸国の「新冷戦」の行く末に危機感を募らせている。死者5500人弱。ウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力が争うウクライナ東部の戦いに、「核戦争」の可能性さえ口にする。「熱くなりすぎた状態の中で、誰かが平常心を失えば、われわれはもう来る将来を生き残ることはできない」のだという。20世紀の“旧冷戦”を終結に導いたノーベル平和賞受賞者の憂惧は痛切だ。

「原因はNATO側にある」

ゴルバチョフ氏=モスクワ市内、2012年11月撮影

 ミハイル・セルゲービッチ・ゴルバチョフ。1931年3月生まれ、83歳。ソ連時代を経験していない世代が急速に増えているロシア社会では、「ゴルビー」の愛称も色あせつつある。「過去の政治家」。口さがない一部の露メディアはそう呼ぶ。

 しかし、20世紀の歴史の巨人として、今もその名はとどろいている。1985年、54歳の若さで第8代目のソ連最高指導者に就任。国内ではペレストロイカ(露語で「建て直し」)、グラスノスチ(「情報公開」)を押し進めた。外交政策としては「欧州共通の家」「新世界秩序」を打ち出し、核戦争の危機を消滅させた。

 昨年10月、ドイツで行われた、ベルリンの壁崩壊25周年のイベントでは、華やかな表舞台に姿を見せ、その言動は再び、欧州主要紙の一面を飾った。

 ゴルバチョフ氏は、ウクライナ危機に、エスカレートする米露の摩擦、分断される欧州の姿を見出し、いったん葬ったはずの冷戦の亡霊が蘇ることに警句を発してきた。

 1月初旬、「最悪の事態への恐怖」を指摘したドイツ誌シュピーゲルのインタビューで「私は分別のある人間であり、軽々しく口にしているのではない。状況を本当に懸念しているのだ」と言った。

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関屋泉美(せきや・いずみ)

ロシア専門家。ロシア在住経験あり。

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