世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年3月6日

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 米シンクタンクAEIのマイケル・マッザ研究員が、1月30日付のAEIのサイトで、米国は、言葉でも行動でも、より明確な姿勢を示すべきで、具体的には、中国周辺国が潜水艦増強をしているが、その活動を連携させ、また、海洋情勢の把握を関係国と協力して強化すべきである、と論じています。

 すなわち、オバマ大統領のアジアへの軸足移動について、アジア諸国は、その持続性に疑問を持っている。中東の不安定化は、再度、米国をISILとの戦争に向かわせ、米国は中東へ再度軸足移動をしたと考えている。

 オバマ政権は言葉を行動で裏打ちしていない。アジア諸国の多くは、日豪との同盟強化、ダーウィンへの米海兵隊駐留、米海軍の太平洋への増強を歓迎しているが、同時に予算の強制削減で演習の中止など即応体制が損なわれ、米軍のアジアでの展開能力が弱くなっていると見ている。

 米国は、その言葉も地域防衛戦略も変えるべきである。

 第1:中国に対しもっと率直であるべきである。

 米国は、中国の平和台頭は歓迎するという一方、中国軍近代化を懸念していると言うべきである。中国が軍を強化するのは自然であるが、その近代化努力は米軍を敗北させ、近隣民主主義国を服従させ、米国の西太平洋とアジアの海へのアクセスを阻止することを狙っている。これは、アジア・米の繁栄と安保維持に役立ってきたアジア秩序を掘り崩すおそれがある。

 米国は、中国の近隣国への威嚇、南シナ海での既成事実作りなどは2002年の南シナ海での行動宣言に違反しており、南シナ海航路の安全を脅かしていると言うべきである。

 特に、東シナ海での中国の行動はアジアの平和の維持に役立たない向こう見ずなもので、米国の重要地域同盟への直接の挑戦であると説明すべきである。

 第2:韓国、日本、台湾、豪州、インドは潜水艦艦隊を強化している。潜水艦「ピケ・ライン」とも言うべきものを、地理的分担をして宗谷海峡、バシ海峡、南シナ海とフィリピン海を結ぶ海路、東南アジア群島、東インド洋、アンダマン海に置いて、中国の潜水艦を追跡し、紛争のときにはそのチョークポイントを閉鎖できるようにすべきである。また、米国は、日本の豪州への潜水艦売却を支持し、日本が台湾に蒼龍級潜水艦(米国の通信・兵器システム搭載)を売るように働きかけるのが良い。

 第3:米国は地域海洋情勢把握ネットワークを作ることを提案すべきである。インドネシア、マレーシア、ヴェトナムも加え、ISR(情報、監視、偵察)能力を強化する。これらは軍事施設の建設など中国の挑発を抑止することにつながる。

 これらの実現のためには政治的障害がある。日韓は関係がよくないし、インドは自主外交重視である。各国とも台湾との関係は不確かで、中国との経済関係は重視している。

 しかし中国の行動はすでにこれらの国を協力する方に押しやっている。米国はこの機会をとらえて、議長役をすればよい。アセアン諸国と台湾の交流も助ければよい。

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