世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年3月17日

»著者プロフィール

 米外交問題評議会南アジア部長のジェフ・スミスが、2月12日付ウォールストリート・ジャーナル紙掲載の論説にて、オバマ大統領がダライラマと会ったことを擁護し、米大統領が誰と話すかをいかなる国も決定できないことを米国は思い起こすべきである、と述べています。

 すなわち、オバマ大統領がダライラマと一緒に初めて公の場に出たことが2月5日ニュースになった。中国は新華社電を通じて直ちに「これは両国の政治的信頼を傷つける」と述べた。

 ダライラマへの中国の被害妄想は際立っている。中国は、ダライラマがチベット独立運動を率い、チベットでの中国支配を掘り崩そうとしていると信じている。

 しかし、ダライラマは暴力を奨励せず、中国との話し合いは無駄とするチベットの不満分子や武闘派への抑えになっている。ダライラマは、中国を批判し、中国共産党を嘘つきと呼ぶ一方、中国からの独立は求めないとしている。ダライラマは、香港やマカオ同様の高度の自治を求め、それが認められれば中国に帰ると言っている。

 2013年、習近平就任で楽観論が出たが、今や交渉の窓は狭められ、習近平政権は外国の指導者がダライラマと会わないように脅している。2011年、11人の国家指導者がダライラマに会ったが、2013年には2人に過ぎない。昨年はEUの首脳で彼と会った人はいない。ローマ法王も会っていない。

 ホワイトハウスでさえ遠慮がちになっている。ブッシュ大統領は、ダライラマに議会金メダルを送るなど、ダライラマに会うことに積極的であったが、オバマはより慎重である。2009年の訪中前にダライラマとの面談を拒否し、1年後会った時にも正面玄関で迎えるのを避けた。

 欧州の研究者は、ダライラマに会ったことで経済的な報復はほとんどなく、あったとしても平均2年しか続いていないとしている。中国は、キャメロン首相がダライラマに会った後、18カ月外交接触を停止したが、英中貿易額は増えた。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る