世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年3月25日

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 スコット・スナイダー外交問題評議会上級研究員は、2月18日付ナショナル・インタレスト誌に「北朝鮮はもはや飢えていない」と題する論説を掲載し、最近のFAO(国連食糧農業機関)報告等を紹介しつつ、北朝鮮の食糧事情が改善しているようだと論評しています。

 すなわち、最近の報告では、北朝鮮の食糧事情が安定していることが示されている。北朝鮮指導部も事態は改善していると考えているだろう。

 2月3日、FAOは北朝鮮食糧事情報告を発表した。今回の報告は、従来の報告と違って、現地調査なしで、北朝鮮提供の統計のみによって評価が行われた。

 今回北朝鮮が現地調査を認めなかったことには、二つの意味がある。第一は、北朝鮮が食糧事情の改善について自信をもってきていることである。第二は、今後も現地調査が出来なくなると、FAOの報告の質の劣化が避けられないことである。

 今年のFAO報告の結論は、2014年の北朝鮮の食糧生産は、594万トンで、「低水準のままだ」としている。更に同報告は、冬の麦収穫は芳しくないだろうと述べ、このため、40.7万トンの穀物輸入が必要になるとしている。

 2013-14年度に、北朝鮮は、約31.4万トンの穀物を輸入した。同時期の北朝鮮向け国際食糧援助は、約6.5万トンとなり、従来の水準から激減した。

 今年の報告で興味深いことは、2013-14年度に、ロシアが、中国を凌駕し、最大の2国間食糧支援国になったことだ。多国間支援は、約3.6万トンだった。約100万トンの支援が必要だった2000年代半ばと比べると、北朝鮮の輸入必要量は30万トン台に激減している。更に、北朝鮮は、食糧不足を、国際支援ではなく、商業的な調達で賄い始めていることが分かる。

 以上のことは、北朝鮮経済が、近年、生産性の改善を見せ、成長しているとは言えないが、安定していることを示している。金正恩の農業改革は、経済面で一定の成果を出しつつあるようだ。他方で、問題は、ミサイル・核開発が何の歯止めもなく進んでいるということだ。 

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