対談

2015年4月8日

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 エコに目覚めて一流企業を飛び出した「センスもガッツもない農家」が、悪戦苦闘の末に培ったノウハウや思考法だけでなく、ダメな農家時代の苦い記憶までさらけ出した一冊、『小さくて強い農業をつくる』が好評の久松農園代表、久松達央さん。

 〈エコ〉と〈エゴ〉のあいだで揺れ続け、ときに引き裂かれときに暴走する社会を正面から見つめ、個人の損得や勝手な逸脱までも環境持続性に組み込むことを構想する、環境社会学者の丸山康司さん。

 旧知の二人だから話せる、ほかでは言いにくい「農業とエコ」の関係を、思いのままに語ってもらった。

「この人の話は割り引いて聞くように」

丸山:知人の開いたバーベキューで初めて久松さんと会って、意気投合したんですよね。その頃、有機農業が打ち出す健康的なイメージとか、いかにもロジカルな宣伝文句をちょっと冷ややかに見ていて、「食いもんなんてウマいかマズいかでいいだろ?」と思っていたんです。そんな話を有機農家の人たちにぶつけてみても、100倍くらいのウンチクで反論されるのが関の山なんですが、唯一「そうなんですよ!」と返してきたのが久松さんだった。違うことをやろうとしている感じがすごく面白くて、自分のゼミの学生にも話をしてもらおうと思ったんです。

久松:初めて呼ばれたのがたしか2005年でしたね。当時先生が講師をされていた成蹊大学の、環境社会学の講義。まだ僕は農家としてはまったくの五里霧中で、なんで呼ばれたのかよくわからなかった。

丸山:環境問題は倫理ではなく、制度設計や個人のインセンティブから考えなければいけないと考えていて、学生にも「有機農業をやりたい」と思うインセンティブを知ってもらいたかったんですね。やりたくてやってみても、マーケットの壁に当たったりもする。現場の人に語ってもらったほうがいいと思ったんです。

久松達央さん(左)と丸山康司さん(右)

久松:でも栽培のことしか話さなかったですよね。

丸山:聞いていて面白かったのは現場の小ネタで、収穫をするための変わった道具の写真とか、僕にはすごく面白いんだけど学生にはまったく受けない(笑)。

久松:そもそも意味がわからないですからね

丸山:でも、縛りがある中で工夫することが面白いんだな、ということがすごくわかる。今の久松さんみたいに戦略を語るんじゃなくて、栽培オタクの変態性を素のままで見せていましたね。

久松:「久松さんのお話は全然わからなかったけど、『太陽熱マルチ』というものを大好きなことだけはわかりました」って言われたことありますから(笑)。その時々で熱くなっていることばかりを話しているからそうなっちゃうんだけど、でも先生は、最近の僕の話は整理されすぎていると思うでしょ?

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