あらゆる農業はいつか植物工場にたどり着く?

農業と環境の微妙な関係を考えよう(2)久松達央×丸山康司(全5回)


柳瀬 徹 (やなせ・とおる)  フリーランス編集者、ライター

1972年伊豆大島生まれ。企画・編集をした本に飯田泰之・雨宮処凛『脱貧困の経済学』、五野井郁夫『「デモ」とは何か―変貌する直接民主主義』、若田部昌澄『もうダマされないための経済学講義』、五十嵐泰正・他『みんなで決めた「安心」のかたち―ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年』、片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』など。

対談

(画像:iStock)

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真の「環境負荷」とは?

丸山:ただ、有機農業と慣行農業を栽培法として連続的にとらえられるかというと、ある種の断絶はあると思います

久松:どういう意味での断絶ですか?

丸山:論理としての断絶もあるでしょうし、土壌の生態系で見ても、環境保全的機能としても断絶はあるでしょうね。どれくらい近代技術に依存していて、人間が現場で考えて手立てを打つことができるか、とか、技術の成り立ちから別のものという部分が少なからずあると思います。

丸山康司さん

久松:農業者の人為の及ぶところで改善できるかどうか、ということですよね。その意味で、先生がおっしゃるように「現場」を持っているかどうかはやっぱり重要ですよね。実際に「野菜がちゃんと育っている」状況がある限りは、断絶があっても矛盾が共存していても構わない、というのが僕の考えで、本に書いていることでも矛盾だらけでいくらでも突っ込みどころはあると思います。あんまり突っ込まれないんだけど。

丸山:手ぐすね引いて待ち構えているところに、わざわざ飛び込んでくる夏の虫はいない(笑)。

――久松さんはいろいろなところで講演もされていて、有機農業そのものの環境負荷についても質問を受けると思うのですが、普段はどう答えるんですか?

久松:正直に言いますね。興味ないんですよね。環境負荷って、含まれる要素が大きいじゃないですか。何と比較して負荷が高いのかが定かでないと、正確に答えるのが難しい。だからあまり下手に言わないようにしていますし、本でもそのものズバリの回答はしていません。

久松達央さん

 たとえば以前「WEDGE infinity」でも対談した柏市の小川幸夫さんは、慣行農業から有機農業に移ってきた人で、むしろ有機農家の思想性には忌避感さえ持っていた人です。彼は虫が大好きで、ミツバチやテントウムシを栽培に活用するけれども、世の農家の昆虫利用のあまりの粗さに憤っていました。使い捨てにしているだけだ、って。

 農場で生物多様性を確保することで、農業生産に良いサービスをしてくれる生物が生き残る。そういう功利主義的な意味での多様性の維持は、非常に効果的だと思います。彼は農薬の使用をやめてしまいました。

※小川幸夫・久松達央 有機農家対談 「ぼくたちの農業」1~4
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3027

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「対談」

著者

柳瀬 徹(やなせ・とおる)

フリーランス編集者、ライター

1972年伊豆大島生まれ。企画・編集をした本に飯田泰之・雨宮処凛『脱貧困の経済学』、五野井郁夫『「デモ」とは何か―変貌する直接民主主義』、若田部昌澄『もうダマされないための経済学講義』、五十嵐泰正・他『みんなで決めた「安心」のかたち―ポスト3.11の「地産地消」をさがした柏の一年』、片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』など。

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