2024年12月22日(日)

Wedge REPORT

2015年5月15日

 楽天は2015年3月の会見で、同社の米国サイトにおいてビットコインによる支払いを受け入れる計画を明らかにした。リクルートがビットコイン関連のベンチャーに投資するなど、日本でもビットコインへの投資が活発化している。その一方で、ビットコインに代わる次世代の仮想通貨も台頭しつつある。これらはアルトコイン(Alternative Coin:代替的コイン)と総称される。

ビットコイン以外の仮想通貨が続々誕生している(BLOOMBERG/GETTYIMAGES)

 アルトコインが台頭する理由の一つに、ビットコインを店舗で利用することの難しさがある。ビットコインで支払いをすると、採掘という計算に時間を要するため、支払いが承認されるまでに10分を要する。これではカフェでテイクアウトのコーヒーを注文しても、レジで待っている間にすっかり冷めてしまう。そこで、短時間で支払いのできる新しいコインが必要とされる。

 ビットコインのソフトウェアは、特許で保護されていないオープンライセンスなので、誰でも参照することができる。プログラムを1行でも書き換えればビットコインの亜種が生まれるため、アルトコインは無数に存在する。

 仮想通貨の取引相場の一覧を表示するコイン・マーケット・キャップ(Coin Market Cap)のページには、15年3月の時点でビットコインを筆頭に578種類の仮想通貨がリストにされている。従って、このサイトでは577種類のアルトコインが市場取引の対象とされている。仮想通貨578種類の時価総額は約43億9200万ドル(約5320億円)であるが、1位のビットコインが37億9700万ドル(約4600億円)のため、アルトコイン577種類の時価総額の合計は5億9500万ドル(約720億円)程度である。

 時価総額3位のライトコイン(Litecoin:通貨記号LTC)は、典型的なアルトコインである。ライトコインは承認にかかる時間が2.5分と短い。これならば、店舗での決済にも使える。もっとも、ビットコインの10分間という待ち時間は、偽造攻撃を諦めさせるために絶妙の設定であるという見方もある。そうであれば、安全性を重視したビットコインは高額の取引に、迅速性を優先したライトコインは少額の取引に適する。ビットコインを金貨に喩えるならば、ライトコインは銀貨である。


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