中国が既存のオンライン秩序への挑戦を強化し、「オンラインに関わる国家主権」をも主張し始めている、とエコノミスト誌4月4-10日号が報じています。
3月下旬、ソフト開発のための米国の共有ウェブサービスGitHubと、通常ブロックされているコンテンツへのアクセスを中国のユーザーに提供するサイトGreatfire.orgが、大量のデータを送り付けるDos攻撃を受けた。攻撃の手段として中国の検閲用フィルターGreat Firewallが使われたことと、攻撃の動機が注目に価する。
これまで国外のユーザーがGreat Firewallの影響を受けることはほとんどなかったが、今回の攻撃で事情は変わった。攻撃の当面の目的は、外国から中国の検索エンジンに入る情報の流れを妨害することだが、長期的には、外国のインターネット会社に「特定のカテゴリーのコンテンツ」を除去するよう仕向けることにあろう。
実際に手を下した者が誰であれ、こうした攻撃は、既存のオンライン秩序に対する中国の挑戦の一環と言える。中国当局は1990年代に自国がインターネットと繋がって以来、インターネットに対する米国の影響力と、自分たちがコンテンツをコントロールできないことに懸念を抱いてきた。その後、中国はGreat Firewallを作り、フェイスブック、ツイッター、ユーチューブ、外国のニュース報道機関へのアクセスを阻んできた。中でも、指導者の親族の資産状況を調査したニューヨークタイムズ等がターゲットにされ、2012年末に習近平が共産党総書記に就任すると、取締りはさらに強化された。
そして今年になると、当局はfirewallを迂回できるVPN(仮想ネットワーク)への妨害も拡大、同時に、彼らの言う、オンライン国家主権の主張を強め、他国がそれを尊重することを要求し始めた。外国のウェブサイトが、ブロックされているコンテンツへの代替アクセスを中国のユーザーに提供すれば、それはオンライン主権の侵害と見なされるかもしれない。さらに1月には、取締り機関、国家インターネット情報室(CAC)が、Greatfire.orgは外国の「反中」勢力が運営していると言明した。