WEDGE REPORT

2015年7月1日

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小林美希 (こばやし・みき)

労働経済ジャーナリスト

1975年生まれ。株式新聞社、毎日新聞エコノミスト編集部を経て2007年2月からフリーのジャーナリスト。「ルポ看護の質〜患者の命は守られるのか」「夫に死んでほしい妻たち」(朝日新書)、(岩波新書)「ルポ保育崩壊」(岩波新書)と「ルポ母子家庭」(ちくま新書)「ルポ“正社員”の若者たち」(岩波書店)、「看護崩壊」(アスキー新書)、「ルポ職場流産」(岩波書店)、「ルポ産ませない社会」(河出書房新社)など

 「2人目を考えていたところだったのに、これでは、仕事を続けられなくなる」

 埼玉県所沢市に住む女性(35歳)は、途方に暮れる思いでいっぱいだ。現在、1歳の子が市内の保育所に通っている。「“卵子の老化”も気になる年齢になり、早く2人目が欲しい」と思っていた矢先のニュースにわが耳を疑った。

画像:iStock

 それというのも、所沢市が2015年4月から保育制度を改定。4月1日より第2子以降が生まれて親が育児休業を取得する場合、既に保育所に通っている0~2歳児クラスの子どもを原則、退園にする「育休退園」をルールづけたからだ。出産の翌々月末までは保育所を利用できるが、それ以降に育児休業を取るなら退園、職場復帰するなら在園が継続される。

 この制度改定を巡って所沢市の保護者らが6月25日、「育休退園」の差し止めを求める行政訴訟に踏み切るなど、波紋が広がっている。

 この「育休退園」とは、待機児童の解消のため、所沢市が育児休業中は家庭での保育が可能だとして、継続在園について厳しいハードルを設けたもので、実質、退園の強制となる。第2子以降が生まれても在園できる条件について、保護者の健康状態や子どもの発達の上で環境の変化が好ましくないと思われる場合に限定した。

 具体的には、(1)生まれた子に特定の疾患がある、(2)母親に疾病や障がいがある、(3)双子以上の出産、(4)混合保育(心身に何らかの障がいがあり、保育所で健常児とともに保育することが相互の健全な成長発達が促進される場合の保育)で入園していて継続保育が必要、(5)在園児の家庭における保育環境の状況から、引き続き保育所を利用することが必要―という「保育の継続事由」5項目に限定された。

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