世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年7月14日

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 米国が支えてきた秩序は崩壊したが、中東は米国の新たな強い関与を必要とし、しかもそれは可能であるだけでなく、米国の利益にもなる、と6月6-12日号の英エコノミスト誌が論じています。

画像:iStock

 すなわち、米国が支えてきた中東の秩序は崩壊した。シリア、イラク、リビアは内戦状況、イスラム国はカリフ国を名乗り、サウジはイランと影響力を競い、イエメンのシーア派を空爆している。中東には一世代平和は戻らないかもしれない。アラブの権力者は米国のパワーは終わったと思い、米国人は外部から秩序を押し付けることはできないと思っている。しかしそうではない。中東は、米国の関与を必要としている。それは可能だし、米国の利益にもなる。

 民主党はブッシュのイラク侵攻を指弾し、共和党はオバマの無為を責める。しかし原因はもっと根深いものだ。第二次世界大戦後、独立した中東諸国では、正当性を欠く指導者がアラブ・ナショナリスムに頼って統治し、若者たちは、時に狂信的なまでに、宗教に慰めを求めた。アラブの春は、いずれ起きるべくして起きた。

 確かに米国は世界の警察官であることに疲れているし、米国の最重要の課題は中国だ。しかし、これらを認めた上で、なお中東は重要だ。

 なぜなら、中東で横行するテロはいずれ西側を標的にするからだ。ラマディやパルミラを制圧したISは資金や戦闘員を惹き付けている。脅威を最小限に抑えるには、現地の中東でもっと手を打つ必要がある。

 石油の問題もある。シェールオイルのおかげで米国は10年内に石油を自給できるようになるが、石油価格はグローバルなものであり、米国も市場の変動の影響は免れられない。

 最後に、核拡散問題がある。米国はイランと核協議を進めているが、他の中東諸国も核開発に走らないよう抑える必要がある。

 オバマは、中東の問題は中東自身が解決すべきと考えたが、その結果出現した力の真空には、対立と混乱が増大しただけだった。

 オバマは事態の悪化を防ぐため、建設的封じ込め戦略を打ち出す必要がある。

 米国はもっと政治的に関与する必要がある。また、イスラエル・パレスチナ紛争の終結に向けた努力も止めてはならない。シリアについてはトルコと協力して穏健勢力を作り、サウジとともに、イエメン戦争を止めるべきである。瀕死の「安定」にしがみ付く湾岸諸国やエジプトでは経済・政治改革を後押しすべきだ。武力行使も覚悟しなければならない。

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