これを踏まえれば、法案を通した後の安倍総理の支持率は上がってしかるべきである。集団的自衛権の行使によって、戦後日本が地域の平和や安定の推進に果たしてきた模範的歴史が汚されることはない。むしろ、日本が民主主義とルールに基づく国際秩序を守るための責任を今まで以上に背負うことを可能にする、と述べています。
出典:‘Japan’s Peaceful Self-Defense’(Wall Street Journal, July 17, 2015)
http://www.wsj.com/articles/japans-peaceful-self-defense-1437090466
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この社説は安保法制法案に対する日本の世論の反対に若干驚きを表明するとともに、集団的自衛権を認めるなどの今回の安保法制法案を強く支持し、民主党も同じ方向の政策を野田政権などの時代にとっていたから、法案成立後には安倍総理の支持は回復するだろうと予測しています。大筋で的を射ています。
今回の安保法制への反対論は、まったく反対論の体をなしていません。「青年を戦場に送るな」などと言っていますが、徴兵制ではなく志願制の自衛隊なのですから行きたくなければ志願しなければよいだけの話です。それに、今は戦場がこちらに来る時代で、尖閣に侵攻されれば日本領土が戦場になります。今回の法制を認めれば徴兵制になるなど、とんでもないことで人々を脅す人もいますが、牽強付会も甚だしいと言わざるを得ません。そして、「戦争法案」などと扇情的なレッテル張りをしています。
60年安保の時もPKO法案の時も大騒ぎをしましたが、今は多くの人に受け入れられています。今回の法案が通った後、戦争にもならず、徴兵制にもならず、いまの反対論が机上の空論であったことが明らかになることはほぼ確実です。
一時的な支持率低迷で方針を変える必要はまったくありません。長い目で見て日本国民の賢明さを信頼するのが一番でしょう。それに今は自民党に代わり政権を担える政党はありません。
なお、今度の法制は集団的自衛権の行使も限定的すぎて不十分であり、旧来の内閣法制局集団的自衛権についての誤った憲法解釈をベースにしており、安保政策の大転換というのには程遠いと思います。
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