第一に、米軍には約149万人の現役兵力の他に大規模で即時に動員可能な予備兵力があるということです。米軍の予備役は合計84.4万(陸軍州兵35.8万、陸軍予備20.5万、海兵隊予備4.0万、空軍州兵10.6万、空軍予備7.1万人)おり、これをいつでも動員できる態勢にあります。自衛隊にも予備制度はありますが、約24.7万人の現役自衛官の他に5.6万人の予備自衛官がいるものの、米軍のように直ちに現役に伍することができるのは即応予備自衛官と呼ばれる約1万人に過ぎません。
第二に、このような予備役制度を支持する社会基盤があるということに着目すべきでしょう。84.4万人の予備役軍人の内1割近くにあたる7.8万人が一時的に現役軍人として勤務しています。このような予備役軍人は、当然平素は一般の社会人として経済活動に従事している訳ですが、軍に動員されている間は、その空きを埋める仕組みがあり、1年ないし数年にわたって軍に勤務した後に、彼らをもう一度受け入れる社会があるということです。こうした点は、アメリカ社会全体が国防という崇高な義務を積極的に負うという姿勢をもっていることに他ならず、この点は特に日本社会にとり何らかの教訓になると思います。米陸軍の削減と日本での自衛隊削減論と同一視してはならない所以です。
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