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2015年9月1日

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小泉悠 (こいずみ・ゆう)

財団法人未来工学研究所客員研究員

1982年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間企業を経た後、2008年から未来工学研究所。09年には外務省国際情報統括官組織で専門分析員を兼任。10年、日露青年交流センターの若手研究者等派遣フェローシップによってモスクワの世界経済・国際関係研究所(IMEMO)に留学。専門は、ロシアの軍事・安全保障政策、軍需産業政策など。著書に軍事大国ロシア』(作品社)、『プーチンの国家戦略』(東京道堂出版)『ロシアの軍事情報を配信するサイト「World Security Intelligence」(http://wsintell.org/top/)を運営。

 以前、リトアニアに関して述べたように(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4646)、昨年発生したウクライナ危機は、欧州諸国における対露脅威認識を高めている。

 なかでもクリミア半島の占拠作戦に見られるように、平時とも有事ともつかないまま、また必ずしも戦闘を伴うことなくして領土を喪失するかもしれないという点がこの脅威認識に不気味な現実を与えているようだ。

 そんな脅威認識を体現したかのようなドラマがノルウェーで公開された。『占領』と名付けられたこのドラマは、ノルウェーで過激な環境保護政党が政権を取ったのをきっかけにロシア軍が同国の石油採掘施設を占拠するというシナリオで大きな反響を呼んでいる。



https://youtu.be/muo1K8mlzrk

 以下、ロシアの対外宣伝放送である『ロシア・トゥデイ』ロシア語版の報道を紹介する。

(翻訳)

 「「ロシアによるノルウェー占領」についてのドラマに金は惜しまない:マスコミ報道」『ロシア・トゥデイ』2015年8月27日

 ノルウェーのテレビでドラマ『占領』が放映されている。このドラマの制作者は、ロシアが国際社会の支持を得てノルウェーの領土を占領することを妄想している。『ローカル』によると、これはノルウェーのTV史上最も金の掛かったドラマだ。このドラマはすでに欧州北部の10カ国に供給されている。

 ノルウェーにおいてミニドラマ『占領』が放映されていることについて、ロシアは遺憾の意を表明した。そのあらすじは、ロシアが国際社会の支持を得てノルウェーの領土を占拠するというものだ。『ローカル』ノルウェー語版によると、スカンジナビアのある国で「ラディカル環境党」が政権の座に就き、石油とガスの採掘を停止したことでこの事件が発生するという。

(中略)

 在オスロ・ロシア大使館の広報担当者は「ロシアが侵略者として描かれることは遺憾だ」と述べ、第二次世界大戦戦勝70周年の節目に残念なことだとしている。同人はまた、「このドラマのシナリオはノルウェーの視聴者にありもしない東方からの脅威を感じさせようとするものだ」とも付け加えた。

 このドラマでは、ロシアの占領軍は石油天然ガスだけを支配し、日常生活は普段通りに続いていくことになっている。その原案は、すでに2008年の時点で書かれていた。ノルウェーやスウェーデンへのロシアの侵入なる考えが生まれるずっと前のことだ。

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