チャイナ・ウォッチャーの視点

2015年10月13日

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西本紫乃 (にしもと・しの)

北海道大学公共政策大学院専任講師

1972年広島県生まれ、広島大学大学院博士後期課程単位満了退学、元外務省専門調査員(在中国日本国大使館)。著書『モノ言う中国人』(集英社新書、2011年)。

 9月22日から28日まで、習近平国家主席は米国を公式訪問した。習近平政権がスタートしてから、国家主席が国賓待遇で訪米するのは今回が初めてであり、それだけに今回の習近平訪米を歴史的な訪問として演出するため、中国側は事前準備に全力を尽くしたようだ。

2014年7月ナスダックに上場した微博(Weibo)

 実際にはサイバーセキュリティや軍事、人権と両国が相容れない問題とそれぞれの思惑があり、中国が思い描いていたほど華々しい訪米とはならなかったのだが、中国国内では今回の習近平主席の訪米の最大の成果は「米中が新型大国関係の構築に互いに努力することで同意した」ことだとか、国連総会での途上国の立場を尊重した習近平主席の演説は「満場からの喝采」を受けた、といった誇大さが目立つ報道ぶりだった。

「紅二代」が共産党に騙されたと咬みつく

 さて、中国の新聞やニュース報道で自国の大国ぶりを示す習近平主席の訪米の話題一色となっていた9月下旬、中国国内では中国共産党の「信仰の危機」についての話題が人々の耳目を集めていた。

国連で演説する習近平(画像:Getty Images News)

 中国では宗教について自由な信仰が認められている。しかし、そこには但し書きが付く。自由に信仰して良いのは中国共産党が認可した宗教団体であることが前提だ。「宗教<党」である中国における「信仰」とはキリスト教やイスラム教といった宗教一般における信仰という意味の他に、より核心的な意味として中国共産党の政治思想に対する「信仰」、つまりそれを絶対のものとして信じて疑わない心、といった意味でも使われる。

 習近平国家主席が大国のリーダーとして外交の舞台に立っていた頃、中国国内では中国共産党の掲げる共産主義の理想に対する疑義がもちあがっていた。

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