この熱き人々

2016年1月31日

»著者プロフィール
閉じる

吉永みち子 (よしながみちこ)

1950年、埼玉県生まれ。85年、『気がつけば騎手の女房』で大宅壮一ノンフィクション大賞を受賞。著書に『母と娘の40年戦争』(集英社文庫)、『怖いもの知らずの女たち』(山と溪谷社)、『試練は女のダイヤモンド』(ウェッジ)などがある。

演劇の本場ブロードウェーで東洋人として初めてミュージカルを演出。
誰もやらなかったことに挑戦し続け、崖っぷちで生まれる奇跡のような瞬間を凝縮した舞台が、人々の心を揺さぶる。

 アメリカ、ヨーロッパ、アジアと活躍の場が世界に広がっている演出家・宮本亜門は、この日も台湾から帰国したばかりだという。数日後には、来年の舞台の打ち合わせのためカンボジアに向かうらしい。さらに、京都・上賀茂神社の式年遷宮の奉納行事として境内で上演される奉納劇の準備のために、足繁く京都に通う日々でもある。

 あまりにハードなスケジュールは人を不機嫌にさせるはず……しかし、そんな心配はすぐに消え去った。夕暮れの窓辺の椅子に腰かけた宮本から、疲れの気配などみじんも感じられない。エネルギーに満ちた表情は、真昼間の青年のように輝いて見えるものだから、ついプロフィールの生年月日から50代後半のはずと、年齢をはじき出してしまった。

 「人って死の瞬間まで感動することも人を感動させることもできると思っているから、今この瞬間を生きているということこそが大事で、自分の年齢なんか考えたことない。年を考えすぎたり、人生をカウントダウンし始めると、人は元気がなくなるし寂しさから保守的になるんじゃないかな」

 とても自然に言う。きっとこれまで、喜びの時も苦しい時も悲しい時も、方向は違っても同じようにダイナミックに心を動かして生きてきたのだろう。どんな場合でもセンサーが常にフル稼働。その状況をせいいっぱい生き切る。さりげないひと言で、宮本のパワーの源にいきなり触れたような気がした。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る