山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2015年10月27日

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 さて、そのプーチン大統領が今年は日本に来ると言いながら結局来なかった。ソチオリンピック以来、安倍首相はプーチン大統領に訪日の実現を打診してきたが、欧米のロシアへの経済制裁のために日本側も足並みを揃えなければならないので結局先送りになっているようだ。

逆さ地図から見る日露関係の新発想

富山県HPより

 今年の8月にはプーチン大統領が北方領土を訪問しているが領土交渉の実現を考えているとの見方も多い。その後も9月3日~5日まで、極東ウラジオストクで経済フォーラムを開催した。プーチン大統領が自ら極東開発について日本の資本投資や技術協力についての可能性を打診したが、日本からの参加者よりも中国や韓国からの参加者の方が多かった。

 プーチン大統領の本音は中国でもなければ韓国でもないのに日本人はあと一つロシアに対して拭いきれないような誤解があるようにも見える。井上靖の小説『おろしや国酔夢譚』主人公の大黒屋光太夫がエカテリナ2世に謁見した時からも日本政府はロシアには冷淡であった。海外情勢を豊富に知る光太夫は生涯軟禁されて一生を送ったようだ。当時から日本は大陸からの視点を持つという事はなかったようだ。

 日本から見た極東の地図を逆さにするとロシアにとって日本列島がいかに重要であるかが理解できる。日本人でこの逆さ地図を見れば、シベリア開発が大変身近なものだとわかるのだが、自由貿易を標榜する産業人ですら、いまだにロシアからの視点で発想する人物は少ないように思うのは私だけだろうか?

日本に最も近い欧州沿海州にエルミタージュや
プーシキン美術館を移設せよ

 日本の資本や技術提供なしに極東経済の発展はないことは明らかで、極東共同開発のテーブルに、北方領土のカードをロシアは乗せたくて仕方がないのである。ロシアの友人に聞いたところ日本を嫌いなロシア人など滅多にいないが、日本人はなぜかロシアを誤解していると言っている。そんな誤解を解くためには双方の交流を進めるしか王道はないように思われる。

 例えば、今年の9月の経済フォーラムが行われたウラジオストックは新潟から飛行機でたった1時間半のところにある。成田からの直行便もある。2時間10分のフライトである。日本からの一番近いヨーロッパなのに日本人旅行客はサッパリである。

 私自身はこれまでロシアには60回以上の訪問をしているが、ロシア人ほどおおらかで親日的な国民はそうはいない。表面的にはとっつきが悪いから日本人が誤解しているのである。この際、産業面の協力だと言っても時間ばかりかかるからロシア文化で交流を進める事を提案したい。

 今年の3月4日に東京の学士会館で「ロシアセミナー」を開催した時のことである。私の勝手なお願いでロシアのアファナシエフ大使にロシア民謡を大使館の子女に歌って貰う事を依頼した。大使は快く私の願いを聞き入れてくれた。その結果、会場には素晴らしい友好の輪が広がった。

 この発想をさらに広げるなら、サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館やモスクワのプーシキン美術館やトレチャコフ美術館のコレクションを極東のウラジオストックやハバロフスクに時々持ってきて展覧会をして貰いたい。

ロシア民謡を歌い踊ってくれた大使館の子供たち

 さらにモスクワのボリショイ劇場を夏の間だけでも極東で公演してくれたら芸術好きの日本人がロシアに喜んで大挙して訪問することは確実だ。私にしてみれば「少なくとも北方領土の返還よりも簡単ではないか」と思うがプーチン大統領は何と答えるだろうか?
 

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