世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年1月14日

 日印両首脳は、互いを高く評価し、共に中国を警戒し、その友情はアジアの将来に影響を与え得ると、12月12-18日号の英エコノミスト誌が述べています。

日印首脳会談時の安倍首相とインドのモディ首相(Getty Images)

期待高まる日印関係蜜月化

 すなわち、インドのモディ首相と安倍総理は、共にナショナリストであり、安保理常任理事国入りを切望し、改革と西側との軍事的絆の強化によって自国を偉大な国にし、中国の軍事的台頭を抑えたいと思っている。

 そこで、今回の安倍総理の訪印は、両国の関係が単なる友情から、よりコミットした関係へと移行できるかどうかが焦点になろう。

 具体的成果として期待されるのは、①日本の新幹線方式の採用、②原子力協力、③日本の救難飛行艇の売却についての合意であり、この内、①は実現する可能性が最も高い。

 より重要で、それだけに論議を呼ぶのは②と③で、日本がインドで原発を建設することになれば、日本はインドの核保有にお墨付きを与えたことになる。また、インドが日本の救難艇を購入すれば、日本にとって初の軍用プラットフォームの輸出となり、両国の防衛産業間の協力への一歩となる。

 日印両国にとって一番重要なのは、対中牽制のためにも、当然米国との関係だが、日印関係も花開きつつある。今年、日本はインド洋での米印合同軍事演習に参加した。豪州も参加を望んでいる。

 合同演習の復活は、地域の中国への懸念を示すもので、モディ政権は、インドも南シナ海の航行の自由に利害があると宣言した。

 ただ、インドには非同盟、日本には平和主義の伝統が残っている。従って、日印は、中国との対立が現実になっても、相手国の救援に行くことはない。ただ、それでも、両国の協力強化は中国にとって不安要因になろう。例えば、マラッカ海峡での中国船の動きについて両国が情報を共有すれば、中国の作戦行動は大きく阻まれる可能性がある。

 日印間には、領土紛争や歴史的怨恨等の阻害要因がない。第二次大戦で、日本軍はインドに辿りつく前に進軍を阻まれた。また、インド独立の志士を匿ったことで今も日本を賞賛するインド人は多い。冷戦時代には両国の関係は疎遠になったが、現在、インドは米国との関係を深め、日印も友好な関係にある。

 もっとも、日印の経済的結びつきはまだ驚くほど乏しい。インドは世界第7位の経済大国だが、日本の対印貿易や投資は約1%でしかない。

 しかし、日本との相乗効果へのインドの期待は大きい。日本には技術と資本、インドには未開拓の巨大市場があり、製造業が発展する大きな余地がある。ただ、日本の企業もインドの官僚制と貿易障壁には手こずっており、今も多くの日本企業が、政治的リスクはあってもインドより中国に魅力を感じている、と述べています。

出 典:Economist ‘Come together on the Abe road’(December 12-18, 2015)
http://www.economist.com/news/asia/21679756-leaders-india-and-japan-admire-each-other-and-fear-china-their-friendship-will-affect

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