米国のシンクタンク、ハドソン研究所米海軍力センター所長のクロプシーが、1月6日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙で、中国の海軍力の増強に鑑み、米国は海軍力を思い切って増強する必要がある、と述べています。
論説の要旨は以下の通りです。
レーガン政権時の半分以下まで落ち込んだ艦艇数
中国が自前の空母の建設を発表するなど、海軍力を増強している。一方、2011年の予算強制削減などにより米国防省の予算が1兆ドル削減された結果、米海軍の艦艇数はすでに272隻に減っている。これは30年前のレーガン政権末期の半分以下である。
米国は、世界で抑止効果を上げるとともに、もし抑止が敗れた場合に戦いに勝つための先端兵器が必要である。そのために約350隻の戦闘艦が要る。その内訳は以下の通りである。
空母を、西太平洋、ペルシャ湾、そしてふたたび地中海に配備するため、現在の11隻から16隻に増やす必要がある。
供給艦(物資を供給する艦艇)は現在29隻だが、倍増する必要がある。
潜水艦については、中国は2020年までに69~78隻の潜水艦を保有する予定なので、米国は、同年に70隻を保有する見込みだが、維持修理、ローテーション等を考慮すれば、90隻は要る。
水陸両用艇は、地中海におけるロシア、中国、イランのプレゼンスの増大、ISによるリビアの港町Sirteの占領から、米国は冷戦時代のプレゼンスが必要であり、海軍と海兵隊で45隻が必要である。
大型水上戦闘艦、駆逐艦、巡洋艦は、米艦隊の背骨であり、潜水艦を追尾し、空母を守るので、16隻の空母を守るため、少なくとも100隻を要する。
小型戦闘艦(沿岸戦闘艦LCSと呼ばれるもの)は、フリゲート艦の攻撃、防御能力を備えた30隻が要る。
高速船(陸軍と海兵隊の小規模部隊と装備品を運ぶもの)は、現在の11隻の計画は妥当である。