WEDGE REPORT

なぜソーシャルゲーム業界はこんなにだらしないのか
続出する不祥事 度を越す”射幸心煽り”

WEDGE編集部 伊藤 悟 (いとう・さとる)

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ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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 ──今回発生したソーシャルゲーム業界の不祥事について教えてください。

木曽 ここ最近でとりわけ問題になった事案は3件あります。1件目はサイバーエージェントの子会社であるサイゲームス社のソーシャルゲーム「グランブルーファンタジー」(グラブル)で発生しました。

 ゲーム内で行われていたガチャ(最終ページ参照)で「出現率がアップする」と謳われていたレアキャラ(稀少キャラ)の一部の出現率が異常に下げられているという疑惑から始まりました。これが景品表示法の「優良誤認」にあたるのではということで、騒がれ始めました。

木曽 崇(Takashi Kiso)
   国際カジノ研究所所長。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部首席卒業(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの会計監査職を経て、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社。2011年に国際カジノ研究所を設立。(写真・井上智幸)

 ──サイゲームスは疑惑を否定しています。

山本 否定はしていますが、実態上は完全にアウトです。この問題は被害者がどう考えるかが重要であり、業者がどう思うかでは決まりません。

 ──レアキャラの「アンチラ」が出るまで70万円ほど投入してガチャをやり続けたユーザーがいて、その様子をニコニコ生放送で実況しました。

山本 それ以外にも多額の金銭を注ぎ込んだユーザーの存在も明らかになっています。これはギャンブル依存症を疑う必要があります。依存症には軽度や重度があり、重度のユーザーは不確定なガチャを前にして「次は欲しいのが出るだろう」とのめり込み、消費者金融などから借りた資金を投入します。こうした重度依存の「患者」がソーシャルゲームから出てきているのです。一部の悪質なソーシャルゲーム企業は、高収益を目的にガチャで射幸心を煽り、重度依存を引き起こしていますが、明らかにやり過ぎです。

景品表示法違反が疑われる
サイバーエージェントの中核会社

 ──サイゲームスの「グラブル」は、優良誤認以外の問題もありました。

木曽 2件目の事案は、同じく景品表示法で禁止されている「カード合わせ」にあたるのではといわれるものです。年末年始のガチャイベントの対象キャラクターのうち、異なる複数のキャラを揃えることによって、後のゲームの進行を有利にすることができる特殊イベントが発生するとして、ガチャの販売促進を行っていました。これは12年に社会問題となったコンプガチャ問題(最終ページ参照)と原理的には同じです。

 カード合わせというのは、例えば異なる6枚のカードを揃えれば、景品をあげます、というような仕組みです。はじめの1枚は100%必要なカードを入手できますが、一度手に入れたカードはその後必要なくなるため、2枚3枚と揃っていくにつれ、欲しいカードの出る確率が自然と減っていく賭博的なシステムです。

 消費者はこの1枚欲しさに「あと1枚だ」と延々とお金を注ぎ込むため、射幸心を煽り過ぎる仕組みとして違法とされています。最後の1枚の出現率を下げておけばすべて揃う確率は極端に低くなるし、出現率を下げなくてもすべて揃う確率はそもそも低くなるようにできています。

 ただ、今回の件は景品表示法に触れるかどうかの非常にギリギリのところを突いています。2枚揃える必要があるカード合わせなのですが、入手できる時期がわかれていて、1枚目は昨年末、2枚目は今年になってから引くガチャでしか出ないようになっています。

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