世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年3月15日

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 現在の政策は、核は交渉によって取り除くことができ、必要があれば侵略、占領でき、制裁その他の圧力により屈服させることができた時代の北朝鮮に対するものである。しかし、今の北朝鮮はそれとは異なる。

出典:Van Jackson,‘A New Baseline for North Korea Policy: What the Next US President Needs to Know’(Diplomat, February 8, 2016)
http://thediplomat.com/2016/02/a-new-baseline-for-north-korea-policy-what-the-next-us-president-needs-to-know/

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 非常に読み応えのある冷徹な議論です。注意深く読む価値があります。

 論説が言う新たな政策が必要とする議論の中で、韓国要素がどれほど大きいのかが、定かには分かりません。従来から韓国は北の挑発には反撃を主張してきました。しかしその都度最終的には米国からの自制要求に従ってきました。この点は今でもコントロールできる状態にあるのではないでしょうか。ただし、今回の核実験、ミサイル発射についての衝撃は大きく、メディアなどで核武装がオプションとして再び叫ばれています。戦略論というよりも多分に国内的な政治論の側面が強いのではないかと思われますが、注目する必要はあります。

膠着状態打開には米朝協議を

 新たな政策が必要となる最大の理由は、やはり、90年代の北朝鮮と違って、核保有の既成事実化が進んでいることにあります。その意味で、北の核開発はイランの核開発より進んでおり、一層厄介な大問題です。北朝鮮の核保有はそこまで現実が進んでいます。筆者の極めて冷静なポイントは、議論として理解できます。筆者は、先のB52飛行についても批判しています。

 米国の関係者が北朝鮮について本気になってきている最大の理由は、筆者は言及していませんが、やはり、北朝鮮が米国に届く長距離弾道ミサイル獲得に少しずつ前進していることです。米国にとっての戦略リスクが増しています。

 筆者は、北朝鮮とのエンゲージに当たって、直接の交渉目的を非核化とするのは今やおかしいと主張し、同盟関係、核の不拡散などにつき熟慮しながら、「今の北朝鮮」との平和条約の議論を始めるべきだとしています。現在の膠着状態を開くのは、やはり米朝協議だとの点は賛同できます。平和条約は、二国間になるか、複数国間あるいは多数国間になるかは別として、いずれやらねばならない事項です。日朝を含め二国間交渉がますます重要になっているのではないでしょうか。

 このような中で、日本、そして韓国がどのように考えるかが非常に重要になると思います。米、中、ロシアは核保有国として基本的には「同じ言葉」で大国政治を行い、それに対して、日本などもきちっとした、真面目な戦略政治論を行っていくことが重要となります。

  
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