返済猶予の間に中小企業を救うには(3)

町工場の親父もここまでやれる


Wedge編集部

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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まもなく「中小企業金融円滑化法案」が成立する。せっかくの返済猶予をただの延命措置で終わらせないためにも、地域と企業が今なすべきことは何か? 最終回である第3回は、支援に依存することなく、あくまでも自主自立の精神で新ビジネスを立ち上げようとする経営者たちの姿を追っていく。
第1回 : 豊富な支援策が企業に届かない
第2回 : キラリと光るこの街の産業支援

 「弱い者同士が集まって仕事ください、という集団ではありません。課題解決に向け一緒になって考えたい」

 10月のある昼下がり、武蔵工業団地(埼玉県入間市)にある安川電機の一室で、工場長をはじめ、開発、設計、調達、生産技術など20人を超える担当者を前にチーム入間の大場治会長が力強く挨拶をした。

技術力を結集し大企業に逆提案

 チーム入間とは入間市周辺の中小企業5社からなる協業受注集団で、今年4月に結成された。各社の特徴は金型、レーザー加工、プレス、ダイカスト、切削の分野での高い技術力。発注者から渡された図面通りに製造しているだけでは生き残れない。技術力を結集して、新たなモノづくりのニーズを掘り起こしに挑む。

 キャラバン形式の売り込みは今回で3度目、ご近所の有力企業とあり力が入る。これまで安川電機と取引関係がない5社は、順に技術を紹介していく。1辺が0.3ミリのチタンのサイコロを作り出したり、レーザービームでマッチ棒の先端に点火させずに30ミクロンの穴をあけられる精密加工技術などに加え、一貫体制の強みをアピールする。

 一方、プレゼンに耳を傾ける安川電機は、サーボモーターや産業用ロボットの有力メーカー。昨今は小型・軽量化や環境対応に迫られており、新規開発に加え、一つひとつの部品の見直しが急務である。熊谷彰工場長は各社の技術に接し、「微細加工技術は制御装置の小型化に役立ちそう。自動車分野で培われた耐熱性部品を作る技術は、電機分野でも応用できるのではないか」と関心を示すと、高温環境下で使う制御装置の共同開発の話もその場でまとまった。

チーム入間の技術力に興味を示す安川電機のエンジニア

 こうした共同受注を行う集団は他にも沢山あるが、うまく機能していないのが実情だ。例えば、メンバーの技術分野の重複から仕事を取り合ったり、売上をどう分配するかで揉めたりと、内部の利害対立で暗礁に乗り上げるケースが少なくない。そのためチーム入間では、トラブルを未然に防ぎ、円滑に運営できるよう工夫している。技術の重複やレベルの差が生じないように企業を選定し、運営規約には、販売手数料、利益配当、秘密情報の取り扱いなどが細かく盛り込まれている。もっとも、「日本だからできるソリューションを提供したい」と熱く語る経営者たちの理念の共有こそが推進力だ。始動して間もないチーム入間のお手本が京都にある。それが京都試作ネットだ。

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