世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年3月30日

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 カーター国防長官は、予算教書において、「戦略的戦力室」による、小型カメラとセンサーを用いたスマート兵器、超高速発射体を用いたミサイル防衛システム、高速で抗堪性の高いドローンの群れ、などの研究を紹介した。

 ワークは、インタビューで、長さ1フィートに満たないマイクロ・ドローンPerdixを見せてくれた。ペンタゴンは、将来はこうしたドローンを組織的に用いる戦闘を考えている。

 ウクライナとシリアの戦場で、ロシアの能力が明らかになっている。今回のインタビューやその他の公開の発言で、ワークは、自動化された戦闘ネットワーク、先進的センサー、ドローン、対人兵器、電波妨害機器を含む、ロシアの軍事的前進ぶりを挙げている。ワークは「我々の敵は高度なヒューマン・オペレーションを追求しており、それは我々を大いに震えあがらせる」と警告している。

出典:David Ignatius,‘The exotic new weapons the Pentagon wants to deter Russia and China’(Washington Post, February 23, 2016)
https://www.washingtonpost.com/opinions/the-exotic-new-weapons-the-pentagon-wants-to-deter-russia-and-china/2016/02/23/b2621602-da7a-11e5-925f-1d10062cc82d_story.html

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 第二次大戦後の米国の軍事的優位を支えたのは、米国の技術の優位でした。技術の優位は競争相手国の努力により、次第に弱まります。近年ロシアの軍事技術が著しく高まり、また、中国は20年にわたる軍事予算の大幅な拡大により軍事力を飛躍的に高めました。このように米国の軍事的優位が脅かされるに至ったので、「第三の相殺戦略」でその優位を再確立しようとしているのです。

最先端のハイテク技術でも技術優位には限界

 「第三の相殺戦略」の柱はハイテクです。ハイテクは湾岸戦争で明らかなように「第二の相殺戦略」の柱でもありましたが、さらに最先端のハイテクを駆使しようというのが「第三の相殺戦略」です。具体的には、統制された多数のロボットの編隊(陸上及び海上)、小型レールガン(電磁誘導により音速の7倍で弾丸を発射)、より小型の高性能爆弾、などです。レールガンは従来の高価な迎撃ミサイルに代わって、敵のミサイルの迎撃にも有効とされます。「第三の相殺戦略」は、中国に関しては、A2/ADに対抗するものとしても考えられているといいます。

 「第三の相殺戦略」は、中ロに対する米国の軍事的優位を再確立する重要な戦略であり、米国にとってのみならず、日本を含め同盟国の安全保障にとっても肝要です。

 しかし、「第三の相殺戦略」による米国の軍事的優位がどのくらい続くかという問題があります。中ロはこれに対抗するため必死の努力をするでしょう。技術優位はいずれ弱まるものですが、とりわけ、最近ではサイバー攻撃による技術の窃取があります。特に「第三の相殺戦略」の柱である最先端のハイテク技術の一部は軍・民両用のいわゆるデュアル・テクノロジーであると言われます。米国は国防省のみならず、民間企業もサイバー攻撃に対する備えを万全にする必要があります。

  
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