「民泊VS旅館業」はもう古い? 
Airbnbで再生した地方旅館


WEDGE編集部 今野大一 (こんの・だいち)

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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民泊仲介サイトVS旅館業――。この構図がステレオタイプになりつつある。米国で生まれた民泊仲介サイトのAirbnb(エアビーアンドビー)を集客ツールに使い、年間1~2組の常連客しか訪れなかった廃業寸前の地方旅館が、時期によっては稼働率90%を超す「人気旅館」へ生まれ変わる事例も出てきた。

 こうした地方の「眠れる資産」を生かし、ビジネスにしていく動きは今後更に加速するだろう。Wedge4月号(こちらを参照)では、民泊で稼ぐ一般人や今後の法規制、日本市場でAirbnbを猛追する中国系民泊事業者の活動実態などについて特集で取り上げている。

 熱狂的な支持者がいる一方で、熱狂的な反対者もいる民泊の現場はどのようになっているのか。日本各地に点在する現場に足を運んだ。

築百年の古民家。良く手入れされており、室内からも風情が感じられた


比叡山を望む琵琶湖畔の町に築百年の古民家がある。1973年に創業された民宿だが、ここ数年は訪ねる客も年間1~2組。「私も歳やし、もうたたもうと思ってました。まわりも『壊せばええがな』と言ってはったんですが」。こう語る79歳の祖母から、田中優祐さん(25)は昨年4月、民宿の経営を引き継いだ。

 「祖母に集客方法を尋ねると、『タウンページだけ』という衝撃の答えが返ってきました。外国人が好みそうな古民家ですし、集客ツールとしてAirbnbが使えると思ったんです。祖母は半信半疑でしたが、私は絶対に成功すると思っていました」

 田中さんの思惑は当たり、ホスト登録の1週間後にはゴールデンウィークの日程が全て予約で埋まり、夏の稼働率も90%を超えた。年間1~2組の常連客しか来なかった民宿が、年間数百万円を稼ぐ人気の宿に生まれ変わった。「Airbnbは民宿などの地方旅館にとって良いチャンスだと思います」。

 宿泊に来ていたオーストラリア人のリン・コノリーさん(64)とデビッド・コノリーさん(28)親子は、「伝統的な家屋が素晴らしく、京都からのアクセスもグッド。またこの民宿に泊まりたい」と満足げに語る。

民宿に宿泊したリン・コノリーさん(右)とデビッド・コノリーさん(左)親子

 「地方の旅館を購入してリノベーションすれば人気の『民泊旅館』となります。地方行脚をして、今後何軒か購入していきたい」(不動産企業社長)。「日本らしい物件」こそ、民泊の主たる利用者である外国人観光客が求めているものであり、こうした民泊仲介サイトを通じて地方旅館を再生させる動きは今後広がっていくだろう。

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