誰でもなれる「投資型」ホスト
良質な物件・ゲストの選び方
「英語力・資金力・不動産知識ゼロのどこにでもいるシングルマザーだった私でも成功しました。今では本業の結婚相談所よりも稼いでいます。年間350万円ほどかかりますが、中学3年生の娘も、4月からカナダに留学する予定です。Airbnb様々です」
2014年4月に自宅の一部を貸すことから始めた鶴岡真緒さんの年商は現在2000万円。初期費用はシーツ代の4000円のみ。今では東京に9室、京都3室、合計12室のマンションを借り、のべ1500組のゲストを受け入れてきた。冷蔵庫や電子レンジなどの家具はリサイクルショップで購入。部屋の清掃やゲストとのやり取りはすべて代行業社に委託しているため、「自分では作業せずに稼げる」。
無断で部屋を貸し出していたことが所有者に発覚し、追い出されたこともある。「それ以来、不動産屋さんには転貸OKの物件のみ紹介してくださいと伝えて探してもらっています。ベランダにゴミが山積みにされているなど管理レベルが低い物件は狙い目。外国人の住人がいれば、ほぼ大丈夫です。マンションの前に5時間張り込んで、どんな人が住んでいるかを確認したこともあります」。
火災や地震の保険に加入しているが、出費は年間1万5000円程度。玄関のライトが壊れていたときは1億円を上限とするAirbnbの保証サービスを使い、修理してもらった。
「去年の5月頃から予約が入りづらくなりました。稼げることに気付きホストが飛躍的に増えたからです」
取材を進めていくと、Airbnbのホストたちが比較的競争の緩い中国系民泊サイトに重複登録し始めた事実もみえてきた。
川辺敏郎さん(仮名、49)は15年10月に、Airbnbが良質なサービスを提供するホストに与える「スーパーホスト」に開始わずか3カ月で「昇格」した。会社員だった川辺さんが民泊を始めたきっかけは18歳から患っていた難病だった。24年間自動車部品の会社に勤めたが、営業課長を務めた昨年、入院で2カ月間休職した。「役職者として責任ある立場だったこともあり、『もう潮時か』と感じました」。
2年前に結婚。家族が食べていけるだけの貯蓄もあり、興味があった不動産投資の世界で「何とか生きていけるのでは」と考えた。14年2月に初めてワンルームマンションを購入。新たに神戸市の物件を購入したとき、前のオーナーがたまたま冷蔵庫やテレビなどの家財道具ごと譲ってくれた。Airbnbホストを始めると、賃貸で貸し出すときと比べて約1・5倍の収益をあげられるようになった。
「ゲストへのレビューや人によっては学歴も見ることができ、安全なゲストかどうかはある程度の判断ができます。私の物件は1泊1万4000円程度ですが、意図的に高くすることで招かれざる客を排除しています。原則2人までか夫婦しか泊めませんし、アジア人より欧米人を選びますね。東南アジアのゲストが2人と過少申告し、実際には10人が宿泊したこともあります。玄関にカメラを設置するなど、証拠を残すための仕組みは民泊に必須だと感じます。管理組合の許可は得ていません。年配の方ばかりで断られるのが関の山ですし、申請もしていません」