2024年11月21日(木)

Wedge REPORT

2016年3月30日

 千代田区内のオフィスビルを改装し、Airbnbで貸し出していたホストに対し、旅館業法だけでなく建築基準法や消防法にも違反している疑いがあるとして、保健所や区の建築指導課、消防署が立ち入り検査を実施した例もある。ホストは事務所をリノベーションして宿泊用に貸し出していたが、建築法上の用途変更はしていなかった。

 Airbnbで貸していた物件でゲストが自殺した例もあり、民泊に詳しい日比野大弁護士は「負の面も考慮して法整備を進めていくべきだ」と指摘する。

 東京都港区にある高級タワーマンション、白金タワーの管理組合では資産価値が下がることを懸念し、予防の観点から代理人弁護士を立てて民泊の対策に取り組んでいる。

 理事長の星野芳昭氏は、「ゲストが勝手に泊まるという実害にとどまらず、白金タワーでゲストを募集していると噂されるだけでも大迷惑だ」と非難する。以前、Airbnbのサイト上の地図で、白金タワーの位置に、1泊1万2000円でゲストを募集するホストを発見した。弁護士に調査を依頼すると、実際には近隣の新築マンションだということが分かった。相手先の管理組合にも通報しようとしたが、管理組合自体が設立されていなかった。

 白金タワー管理組合の理事からは「Airbnbに抗議し、即刻削除させるべきだ」との声が上がった。しかし第三者からの問い合わせ窓口は存在せず、利用規約上もAirbnbではなくホストの責任となっている。弁護士を通じて、該当するホストに通告文を送ったが、現在も連絡は取れていない。

 現在の民泊事業を手放しで喜べない原因は第三者の不満を解消する取り組みがないことにある。「売り手よし、買い手よし」に加えて、「世間よし」とする取り組みこそ、民泊市場を健全に発展させるために必要である。

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  ・続出する「民泊リッチ」 憤るマンション管理組合
  ・既に2.6万件のAirbnb物件 実態と乖離する法規制
  ・IoT、代行業者 盛り上がる周辺ビジネス
  ・「市の政策をまず示せ」Airbnb対アムステルダム
  ・米中民泊企業トップインタビュー

  
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◆Wedge2016年4月号より

 


 


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