世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年5月16日

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 当該地域は、軍事バランスが変化しており、米国は地域での軍事力強化を目指すべきである。追加的な空軍、海軍、地上軍の前進配備をすべきである。

 ここ数年、中国はアジア・太平洋地域で、規則に基づく秩序の「責任ある利害関係者」ではなく、「いじめっ子」のように振る舞ってきた。米国は挑戦の規模とスピードに適応できていない。米国は、南シナ海での中国の海洋覇権に対し、決意を持った対応を示し、同盟国を安心させるべきである。

出 典:John McCain ‘America needs more than symbolic gestures in the South China Sea’(Financial Times, April 12, 2016)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/69f9459e-fff4-11e5-99cb-83242733f755.html#axzz45ccaSNVR

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将来にかえって禍根残す対中宥和政策

 この論説で示されたマケインの主張は、適切だと思います。

 中国は、ハリス司令官が言うように、東アジアでの覇権を追求しています。中国の「平和的台頭」の主張を信じる人はもういないでしょう。中国の脅威を言い立てると、その予言が自己充足し脅威になるという一部識者のまことしやかな説は、怪しげな政策論と情勢判断を混同した虚偽に近い詭弁であったことが、今は大方の人に明らかになったでしょう。マケインは現在、上院軍事委員会委員長であり、彼の意見はワシントンでそれなりの影響力があります。それに、習近平総書記は、オバマ大統領に対して南シナ海の軍事化はないと言った後、軍事化を進め、今回の核サミットでも南シナ海は中国の核心的利益というなど、オバマ大統領の要望をすげなく退けています。オバマ大統領としても、中国を刺激しない方がよいとはもう言えないのではないでしょうか。

 かつては、中国は脅威であると言うと、そういう発言はするなと制止されました。今では、中国の東・南シナ海での国際法無視の行動によって、やっと中国脅威論が当然のことのように言われるようになりました。物事を正確に認識、表現できるようになった点は歓迎すべきことです。情勢認識の点では、中国のおかげで良くなったと言えます。

 後は、この脅威にどういう政策で対応するかです。マケインの主張している点は適切ですが、米国の国防費も削減されており、どこまでできるか、やる気があるかはよくわかりません。しかし、米国の政策の方向が、マケインの言う方向をとるのは歓迎です。

 宥和政策と強硬政策を比べると、今、対中宥和策を行うのは将来に禍根を残すように思われます。こちらがまだ有利な時に、決意をもって対応しておくことが正解でしょう。

  
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