2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年5月16日

 マケイン米上院軍事委員会委員長が、4月12日付の英フィナンシャル・タイムズ紙に、「南シナ海において米国は象徴的なジェスチャー以上のことをする必要がある」との論説を寄せ、しっかりした対応をすべきであると論じています。マケイン上院議員の論旨は、次の通りです。

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対中抑止失敗招いたオバマのリスク回避姿勢

 ハリス太平洋軍司令官は、上院公聴会で中国の戦略的目的について聞かれ、「中国は東アジアで覇権を追求している。中国は南シナ海を軍事化している。そう考えないのは地球が平面と考えるようなものである」と答えた。

 オバマ政権は埋め立て、軍事化、強制に反対する、3つの「No」を言っているが、中国はそれを継続している。オバマ政権のリスク回避の姿勢が、中国の海上覇権を抑止するのに失敗し、米国の同盟国やパートナーを心配させている。

 6月初め、常設仲裁裁判所は南シナ海での中国の主張についてのフィリピンの提訴について、判決が予定されている。不利な判決の可能性に直面して、中国は既得利益の確保や拡大のために新たな措置を追求しかねない。戦略的に重要なスカボロー礁での埋め立てや軍事化、紛争地域からの他国の追い出し、防空識別圏宣言などが考えられる。

 米国はこれに対応して新しい政策を考慮する必要がある。今月、フィリピンとバリカタン軍事演習があるが、これに空母打撃部隊を派遣し、スカボロー礁の水域を監視するのを考えるべきである。カーター国防長官は、米比両国が条約上の同盟国であることを強調すべきである。フィリピンやその他の同盟国と共に、国際法違反の中国の行動に対抗する戦略を共同策定すべきである。

 もし中国が南シナ海防空識別圏を宣言すれば、ただちにその地域に軍用機を、飛行計画提出、事前通報、周波数登録なしに、飛行させるべきである。

 加えて米国はしっかりとした「自由航行作戦」を実施し、中国の海洋主権主張に挑戦すべきである。共同の監視や演習、情報収集活動も拡大・継続されるべきである。


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