BBC News

2016年5月25日

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過激派組織「イスラム国」(IS)掃討のため米国主導の有志連合に参加するクルド系とアラブ系の連合勢力「シリア民主軍」(SDF)が24日、ISが「首都」と呼ぶ北部ラッカの付近に攻撃を開始した。SDFには戦闘員約3万人が参加しているとみられる。米国主導の有志連合が空から援護し、ロシアも支持を表明している。

米軍主導の有志連合の報道官を務めるスティーブ・ウォーレン米陸軍大佐はバグダッドで会見し、SDFの作戦は「ラッカに圧力をかけること」が目的で、ラッカ奪還ではないと説明した。今のところISはSDFにほとんど反撃していないという。大佐によると、ラッカ市内には3000人~5000人のIS戦闘員がいる。

ロシアのラブロフ外相も、ロシア政府はラッカ攻撃で米国やSDFと連携する用意があると述べた。

SDFのロイダ・フェラト司令官はツイッターで、今回の攻撃の目的は「ラッカ北部を解放し」、ISの「抑圧」の下で暮らす人々を自由にすることだと書いた。

「この作戦の目的は、シャダディ、タル・アバイヤド、コバネでテロ攻撃に反撃し、私たちの人々の安全を保障すること」と司令官は付け加えている。

英国を拠点とする民間団体「シリア人権監視団」によると、SDFは24日、シリアのトルコ国境に近いタル・アバイヤドから南進し、ラッカ北西約60キロにあるアイン・イッサの町へと接近。付近で小競り合いがあったという。

ラッカの反IS組織「ラッカは静かに虐殺されている」(Raqqa is Being Slaughtered Silently=RBSS)によると、24日にはラッカ北部で複数のIS拠点に空爆があり、ヘイシャ村の周りで激しい戦闘があったという。

SDFはシリアのクルド人民兵部隊クルド人民防衛隊(YPG)を主体としており、シリア北部でIS相手の地上戦を主導するなど、2年前から有志連合の強力な協力相手として浮上してきた。米軍機の支援を受けてこれまでに、トルコ国境沿いで400キロに及ぶ地域を含む、約2万6000平方キロの面積を制圧している。

SDFの消息筋はクルド通信社「ルダウ」に対して、SDFは「まず大ファティセと小ファティセ、ティシの各村へ進み、そこで(IS)戦闘員を排除する」つもりだと話している。

BBCのクエンティン・サマービル中東特派員は、SDFのこうした動きに対してIS側も攻撃に備えていると指摘。ラッカの防御補強に加え、広範なトンネル・ネットワークを構築したという。

SDFの作戦開始発表に先立ち21日には、SDF幹部とシリア北部の米軍司令官が会談している。米中央軍のジョセフ・ボーテル司令官は秘密裏にシリア北部を訪れ、現地でSDFに助言している米軍顧問たちから状況報告を受けた。

SDFは現在、クルド人戦闘員2万5000人以上と、アラブ系戦闘員5000~6000人からなる。米軍はラッカ奪還の前に、アラブ系の人数を増やしたい考えだ。

ラッカは2013年3月、反政府勢力に制圧された。シリアの主要都市が反アサド勢力に陥落するのはこれが初めてだった。さらにその5カ月後の8月に、今度はISがラッカを支配下に置き、「首都」と位置付けて独自解釈のイスラム教にもとづく法律の施行などを開始した。

(英語記事 Syria conflict: Kurds launch campaign north of IS-held Raqqa)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/36375937

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