解体 ロシア外交

2016年6月8日

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 最近、北大西洋条約機構(NATO)の、ロシアを苛立たせる動きが顕著である。

 そもそも、ロシアはNATOの存在それ自体に大きく反発している。NATOは共産圏に対抗するために生まれた軍事機構であり、冷戦の所産である。だが、NATOに対抗していたソ連が主導していたワルシャワ条約機構(WTO)が解散したにもかかわらず、NATOがロシアを仮想敵として残存していることが許せないのだ。

6月6日にポーランドで同国史上最大規模のNATO軍事演習が始まった(後述)。(写真:AP/アフロ)

NATO拡大に怒りを募らせるロシア

 加えて、NATOの拡大や反ロシア的な動きに対し、ロシアは常に反発し、時に対抗措置もとってきた。特に、ミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領はドイツ統合の際に、「NATOがドイツ以東に拡大しないという確約を得たから統合を容認した」のだと主張しており、この認識は現在のロシアサイドで共有されている。つまり、ロシア側はNATO拡大そのものが公約違反であると考えており、さらに拡大がバルト三国という旧ソ連の一部や旧東欧諸国、つまり旧共産圏に及ぶにつれ、ロシアの勢力圏がどんどん脅かされている実情に、その怒りをさらに募らせている。

 そして、最近のロシアの旧ソ連圏における大きな動きを考えれば、NATO拡大への反発も必ず背景の一つにあると言ってよい。2008年のジョージア紛争も様々な理由が背景にあったが、ジョージアとウクライナにNATO加盟の登竜門とも言える加盟行動計画(MAP)が付与されるのを阻止したかったということもかなり大きな要因であった。また、最近のウクライナ危機もウクライナのEUとNATO加盟を阻止すべく、ウクライナ国内の不安定化とその維持のために行っていると言ってよい(だからこそ、ロシアはウクライナ東部の編入は目指しておらず、あくまでも統一ウクライナの中での不安定分子として維持しておきたいのである)。

 このように考えると、ロシアの外交におけるNATOの存在や動きの意味がいかに大きいかがわかる。そんなNATOがロシアにとって不愉快な動きを活発に行っているのだから、ロシアの憤懣が募るのも当然である。それではどのようなことが最近起きてきたのだろうか。

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