オトナの教養 週末の一冊

2016年6月17日

»著者プロフィール
著者
閉じる

本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 「またも中国ではこんな信じられない事態が起こっている」「理解に苦しむ国ですね」などという主旨のニュース番組をよく目にする。その中国社会の中で一般の人たちはどう行動し、共産党政府にどんな戦いを挑んでいるのか。そんな彼らを取材し、2度の中国総局特派員経験をもとに現在の中国を描いたのが時事通信社、城山英己記者が上梓した『中国 消し去られた記憶 北京特派員が見た大国の闇』(白水社)。城山記者に政府と戦う民間の人たちの動きや国内での対立、そして今後の中国について話を聞いた。

――城山さんは、02年から07年と11年から今年までの2度の中国赴任を経験されていますが、ご自身と中国社会はどう変化したと感じますか?

城山:最初の赴任時は、当時の小泉純一郎首相が靖国神社を参拝した影響などがあり、日中関係が良くない時期でした。また私自身もチャイナウォッチャーとして特ダネを取り、読者に新たな事実を提示したいという気持ちが強かったですから、共産党の対日戦略や日中関係など大きく扱われるニュースに関心が高く、共産党の権力中枢に近い人たちに積極的に接触していました。

 2度目の11年からの赴任時には、前年に劉暁波さんがノーベル平和賞を受賞し、彼が中心となった「零八憲章」のような民主化の道筋を示すようなムーブメントがちょうど起こっていた時期でした。

 また、同年に温州市で起きた高速鉄道の事故では、中国の調査報道記者が事故の背後にあった鉄道省の歪んだ閉鎖的な体質を暴いたりと、人権派弁護士や改革派の大学教員、調査報道記者が社会に影響力をより持ち始めた時期です。

 こうした民間の動きに対し、12年に発足した習近平体制は弾圧を行っていきます。1度目の赴任では、このような人たちの動きはどうしても共産党政府や日中両政府の動きほど大きなニュースになりにくいため、注視していませんでしたが、2度目には民間の動きを見ていかないと、これからの中国を理解は出来ないと思い取材し始めました。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る