チャイナ・ウォッチャーの視点

2015年5月27日

»著者プロフィール
著者
閉じる

阿古智子 (あこ・ともこ)

東京大学総合文化研究科准教授

1971年、大阪府生まれ。香港大学大学院博士課程修了。在中国日本大使館専門調査員、学習院女子大学准教授、早稲田大学国際教養学部准教授などを経て、2013年から現職。専門は現代中国論。著書に『貧者を喰らう国 中国格差社会からの警告』(新潮社)がある。

筆者とも度々交流していた浦志強弁護士
(提供:筆者)

 5月15日、浦志強弁護士が騒動を引き起こした罪、民族の恨みを扇動した罪の二罪で北京市検察院に起訴された。過去に本サイトでも紹介したように、浦弁護士は昨年5月、友人十数人と天安門事件25周年を回顧する内輪の勉強会を開いたことを理由に拘束されていた。1年以上にわたる取り調べの間、国家分裂扇動罪と個人情報の不正取得の罪の容疑もかけられたが、この二罪では立件できないと検察は判断したようだ。二罪に絞られたとはいえ、最も重い場合、懲役10年を超える可能性もあると中国の専門家は指摘している。

 5月19日には、浦弁護士の姪で浦弁護士拘束の後、個人情報の不正取得の容疑で拘束されていた屈振紅弁護士(浦弁護士の助手を務めていました)が保釈された。ご家族も安堵しており、とりあえずはよかったが、彼女は無罪釈放ではなく、保釈されたのだ。1年近くも拘留された上、賠償も請求できない。屈弁護士は体重が10キロも減り、友人から送られて来た保釈後の彼女の写真は、私が見たことのある彼女とは別人のようだった。

理解に苦しむ曖昧な起訴理由

 検察当局の発行した浦弁護士に関する起訴状は、浦弁護士が微博(中国版ツイッター)などに書き込んだ内容が問題であると指摘している。

1.民族の恨みを煽った罪
被告人・浦志強は2012年1月から2014年5月、北京市豊台区などにおいて、「小小律師浦志強」「発課税案哈律師」「永州規案哈律師」など多くの新浪微博(中国版ツイッター)で開設したアカウント(フォロワー数は合計で約13万)を使い、雲南省昆明暴力テロ事件などに関して、8回にわたってコメントを流し、インターネットを利用して民族関係を挑発しようとし、それによって大量のネットユーザーが閲覧し、リツイートしたり、コメントしたりし、民族の団結を破壊した。

2.騒動を引き起こした罪
被告人・浦志強は2011年以来、鬱憤をはらすため、北京市西城区などにおいて、「小小律師浦志強」「哈児浦志強有劇」「浦翠蘭律師」など多くの新浪微博(中国版ツイッター)で開設したアカウント(フォロワー数は合計で約20万)を使い、社会的に話題になっている事件などについて、田某や申某など関連の多くの人々をばかにする言葉をもって意のままに侮辱し、それによって、大量のネットユーザーが閲覧し、リツイートしたり、コメントしたりし、社会に悪影響を与えた。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る