WEDGE REPORT

2016年6月21日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 EVの次はEA(Electric Aircraft)の時代。米国が本格的にEA導入に向けて動き始めた。これまでもEAは民間レベルでは実用化されていたが、どちらかというと欧州の企業が強く、一般的に広がっている、とは言えない。しかしNASAが本格的にEA開発に乗り出し、X-57、通称「マクスウェル」というモデルを発表、話題になっている。

 マクスウェルは両翼に合計14個の電気モーターを設置、これがプロペラを動かすことで飛行できる。一旦高度飛行体勢に入れば、2つのモーターだけで飛行を持続できるという。

新航空時代の幕開け

NASAのEA(提供NASA)

 NASAのチャールズ・ボールデン氏は「マクスウェルを通常の航空機サイズで生産することが、航空新時代の幕開けとなる」と語った。NASAによるとマクスウェルは現在1人乗り、水素燃料電池によるハイブリッドEAで、小型セスナと比較した場合時速175マイルの運行でエネルギー消費は5分の1に削減できる。

 また、ガソリンエンジンのように始動に時間がかからないため運行時間の短縮、制作コストも40%削減、バッテリーのみで運行するため炭素化合物の排出もない。

 ただしマクスウェルの継続飛行時間は1時間足らず、距離も100マイル程度にとどまっている。今後の課題は最低でも5人が搭乗できるサイズにすること、飛行時間を延ばすことにある。マクスウェル・プロジェクトのチーフ・エンジニア、マット・レディファー氏は「EV用バッテリーの急激な発展(軽量化、エネルギー集約度、持続性)が過去10年のペースで今後も続けば、あと5-10年でEAが商業飛行に利用できる時代が来る」と語る。

 NASAのマクスウェル発表に先駆け、もう一つ重要なパテント申請が行われた。ボーイング社による「ソーラー・パワーによるEAの翼の形状」に関するものだ。ソーラー・パワーEAはNASAもかつて注力していた分野だが、試作品はいずれも長く空中に留まることができなかった。そのためNASAは燃料電池によるEAに方向を切り替えたが、ボーイングを始めとする複数の企業は現在もソーラー・パワー EAの開発に取り組んでいる。

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