2024年4月20日(土)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年8月4日

「一緒になればもっと強くなれる」の意義

 2012年米大統領選挙で異文化連合軍は、票の獲得に力を発揮しました。オバマ陣営では、人種や民族をマッチングさせて、有権者の説得に当たったのです。たとえば、ヒスパニック系のボランティアから構成されたチームを作り、同系の有権者の説得を行ったのです。南部バージニア州北部にあるオバマ選対では、収入のレベルのマッチングも実施していました。低所得者のヒスパニック系の運動員が、年収が低い同系の有権者を説得したのです。当時、オバマ選対の幹部は、所得によって話すスペイン語の質が異なると説明していました。筆者が所属していた同州の選対では、ベトナム系、フィリピン系、中国系及び韓国系のチームが存在し、人種と民族をマッチングさせて説得を目的とした戸別訪問を展開していました。

 現在、クリントン選対には、ボランティアの運動員を組織化して戸別訪問の指示を出す「オーガナイザー」と呼ばれる職に、多数の元オバマ陣営のスタッフが就いています。本選で、クリントン陣営はトランプ陣営に対して地上戦を有利に進めるために、オバマ陣営と同様の戦略をとってくるでしょう。白人中心の文化的単一性が強いトランプ陣営は、文化的多様性を活かした選挙は展開できません。そこに、クリントン陣営のアドバンテージが存在しているのです。

 以上の理由から、クリントン候補が「一緒になればもっと強くなれる」というメッセージを異文化連合軍の構成員に発したのは、極めて重要な意義があるのです。
  
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