赤坂英一の野球丸

2016年8月31日

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赤坂英一 (あかさか・えいいち)

スポーツライター

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌で、スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆してきた。最新刊『すごい!広島カープ 蘇る赤ヘル』(PHP文庫、『広島カープ論』増補改訂版)が重版出来で2万部突破。ノンフィクション『失われた甲子園記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)が第15回新潮ドキュメント賞にノミネートされた。ほかに『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)『プロ野球コンバート論』(PHP研究所)など。

 広島カープが巨人に逆転勝ちし、25年ぶりの優勝マジックナンバー「20」が点いた24日夜、地元では民放テレビ局4局のうち3局がニュース速報で「マジック点灯」を伝えた。翌25日には、地元有力紙の中国新聞が運動面だけでなく1面カラー写真付きで「25年ぶりM20」と報道。さらに、広島市内の商店街でも大手家電量販店エディオンをはじめ、あちこちの店頭にマジックのカウントボードが設置されている。四半世紀ぶりの優勝へ向けて、全市を挙げてカウントダウンの真っ最中なのだ。

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準備が進む優勝企画

 東京のマスコミ各社も、カープ優勝企画の準備で慌ただしい。黒田博樹、新井貴浩らを筆頭に菊池涼介、丸佳浩、鈴木誠也ら人気のあるスター選手には取材・出演依頼が殺到。チームはもちろん、広島OBの評論家にもインタビュー、講演、イベント出演の申し込みが相次いでいるそうだ。そうした中、9月3日から私の著書『すごい!広島カープ 蘇る赤ヘル』(PHP文庫)も発売される。2年前に上梓した『広島カープ論』に加筆した増補改訂版で、コメントを頂いたある解説者に確認を求めたところ、「最近はこういう話が多いんじゃ。カープの話をしてほしいとか、現役時代の映像を使わせてくれませんかとかね」とホクホク顔だった。

 そんなマスコミのフィーバーぶり、ファンの熱狂ぶりの只中にいると、25年前の優勝とは時代の違いを痛感する。山本浩二監督の下でカープが優勝した1991年、旧広島市民球場の総入場者数は年間122万人、1試合平均では1万8485人に過ぎなかった。当時の大入り満員は3万2000人だから半分ちょっとである(数字はすべて球団発行のメディアガイドによるもの。以下同)。昨年、球団史上最高、初の200万人台を記録したマツダスタジアムの入場者数が211万266人、1試合平均2万9722人。今季も同じくらいか前年を上回る可能性もあるから、25年前は現在の半分程度しか観客が集まらなかった、ということだ。

 当時、私は夕刊紙記者としてカープを取材していたが、人気のなかったヤクルト戦ともなると、9月でマジックが10台に入っているにもかかわらず、入場者数は主催者発表で1万人台どまりだった。91年のシーズン最後の巨人2連戦でも、1試合2万7500人がやっとという有り様である。中国新聞の運動面にはその日の試合のチケットの当日売りの枚数を告知する記事が載っており、それが巨人戦ですら内野指定席・自由席、外野自由席を合わせて2万枚以上に上っていたケースが少なくなかった。せめてもの客寄せのためか、その横に、ファンサービスとして紙パックのお茶を先着2200名に進呈すると書いてあった。

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