2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年11月1日

 核戦力に関しては、当初から何が十分かについて議論が行われました。しかし国の生存に関わる問題について、なかなかこれで十分であると断定できません。どうしても保険を掛けたくなります。それが冷戦中の米ソ間の核軍拡競争を招きました。

ICBM廃止は容易ではない

 ペリー元長官の議論はおそらく正しいのでしょう。しかし、現実問題として核戦力の3本の柱の1本であるICBMを撤廃することは、容易ではないでしょう。ペリー元長官の言うような戦略的考慮のほかに、ICBMの利益集団もあります。カーター国防長官は、9月26日、空軍基地のあるノースダコタ州のMinotでの演説で、旧式のICBMの更新に言及しています。

 ICBMの撤廃、あるいはその前段階としての縮小が真剣に検討されるとすれば、予算の制約、配分との関連においてになるでしょう。

 ペリー元長官は、潜水艦に対するサイバー攻撃や無数のドローンによる探知の脅威への対処につき述べています。このような対処が、米国の核抑止力の維持に不可欠であり、ICBMの維持がそのための予算を圧迫しているとの議論が高まれば、ICBMの撤廃ないしは縮小が論じられる可能性があります。

  
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