チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年11月25日

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高口康太 (たかぐち・こうた )

ライター・翻訳家

1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中国・南開大学に留学後、ライター、翻訳者として活動。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか 人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)

増殖する「新華僑」

 池袋チャイナタウンの中国人はほとんどが、1978年に中国が改革開放路線に転換した以降に訪日した、いわゆる「新華僑」と呼ばれる人々だ。それに対して、改革開放以前から日本に移り住んでいる人々は老華僑と呼ばれる。新華僑の数が増え、チャイナタウンが変貌したり新たなチャイナタウンが誕生したりする現象は世界共通だと山下教授は指摘する。そして新華僑は横浜中華街すらも変えつつある。

 「横浜中華街はもともと老華僑の街でした。大学院生時代にフィールドワークに行ったのですが、中国語で話しかけても日本語で返事されたほどです」と山下教授。ところが21世紀に入り、横浜中華街にも次第に新華僑のレストランが増えていった。長引く景気低迷で宴会、接待が減り、客単価が減少。低価格競争に陥る中で 経営の先行きを不安に思った老華僑が新華僑に店を譲ったのだという。新華僑は老華僑の築いてきた「中華街へのブランドイメージ」を気にせず、〝激安食べ放題〟を武器とすることが多い。

 筆者が出会ってしまった「びっくりするほどの激マズ中華料理」が生まれた要因もここにあるのだろう。また、新華僑は中華街発展協同組合に加入していない店もあり 、ゴミ出しマナーも守らないとして、老華僑との摩擦も生まれているという。中国人も訪れる観光地、横浜中華街にある中国人同士の価値観の相違。横浜中華街のブランドイメージだけは下がって欲しくない。

  
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