世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年12月1日

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 10月27日付のウォールストリート・ジャーナル紙は、中国共産党六中全会で、習近平が権力をさらに強化したという王とペイジ両特派員の解説記事を掲げています。その要旨は以下の通りです。

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「核心」という肩書き

 習近平は、六中全会において「核心」という肩書きを得た。この称号はかつて毛沢東と鄧小平、江沢民に用いられたが、胡錦濤には用いられなかった。習近平は、支配的な地位を獲得した。習近平は、来年の第19回党大会に向けて、仲間を集め、敵を弱体化させるだろう。また六中全会は党組織に新しい規律を導入した。この文脈において「核心」という呼び方には隠れた意味があり、習近平の権威に対する如何なる異議や抵抗も処罰の対象となるという見方もある。

 総書記に就任して以来、習近平は集団指導体制を放棄し、様々な領導小組の責任者となって政策決定権限を集中した。また、軍や経済など多くの分野で権力を掌握した。習近平は強硬策を用いると同時に、宣伝を通して民心を勝ち取る努力をしてきた。反腐敗キャンペーンはその最たるものである。民心を勝ち取り、ライバルを打倒してきた。また、国防や外交においても民族の復興を目指した積極策をとり、ストロングマンとしてのイメージを作っている。

 来年の党大会では、中央政治局常務委員会の7名のうち5名が引退する予定だ。来年は闘争の一年になるだろうが、地位の向上により習近平はより優位な立場になった。しかし、共産党のエリート層において習近平の権力掌握と経済運営に対する懸念が根強いのも事実である。習近平の肩書きの多さが、彼の権力基盤の脆弱性と経済改革を実行する力の不足を示しているという者もいる。

 六中全会において、党内規律が強化された。それは如何なる政治行為が許容されるのかを示し、党内の監督を強めるものだ。これも習近平の地位の強化に繋がる。六中全会のコミュニケは全ての党員が「習近平同志を核心とする党中央」の周りに団結し、党中央の権威と党中央の集中的、統一的な指導を堅く擁護すべきであると書いている。コミュニケは党内の規律強化をうたっており、これが党の最高層である政治局や常務委員会にも適応されることを強調している。これも習近平のライバルに対する警告であると見る者もいる。

 「核心」という肩書きは、習近平の地位を高めるが、一部の政治学者は、習近平の権威は論争の余地がないほどにはなっておらず、上層部における抵抗もなくなるわけではないと指摘する。習近平は有利な立場にあるが、来年の党大会の方向性を独断的に決定するほどではないということである。

 胡錦濤時代、経済は発展したが、腐敗や不平等、環境問題は悪化した。そのことにより、強いリーダーを求める党内の声が高まり、習近平に有利に働いた。今年の初め、一部の省の指導者が習近平を「核心」と呼ぶ動きがあったが、党内の批判を受け、一旦消失した。習近平の地位の確立が、一部の人たちに毛沢東の独裁的なスタイルの再来を想起させたからだ。ところが10月に入って、「核心」への言及が再び現れた。「人民日報」は、「様々な歴史的特徴を持つ偉大な闘い」において、習近平を党の「核心」とすることは決定的に重要であり、それは全党、全軍、全国の各民族の共通した願いであると論じた。

出 典:Chun Han Wong(王春翰)& Jeremy Page‘China’s Xi Jinping Tightens His Hold on Communist Party’(Wall Street Journal, October 27, 2016)
http://www.wsj.com/articles/chinas-xi-jinping-tightens-his-hold-on-communist-party-1477579202

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