中東を読み解く

2016年11月29日

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懸念されるヌスラ戦線の動向

 こうした中で懸念されるのは旧ヌスラ戦線の動向だ。同組織にはシリア内戦の激化で各地から戦闘員が集まり、その規模は約1万人にも達し「アルカイダの中では最大になった」(中東専門家)。特にアルカイダの本拠があったアフガニスタンから逃走した幹部たちもシリアに結集しているといわれる。

 米紙などによると、その中には、アルカイダの軍司令官だったサイフ・アデル、最高幹部の1人だったアブカイル・マスリ、テロ作戦の立案者とされるアブドラ・アブドラらがいる。

 オバマ大統領は最近、国防総省に対し、同組織の指導者らを見つけ出して暗殺するよう命令を下し、IS用の武装無人機などをアレッポや北部シリア向けに移動させた。この作戦は10月から始まり、これまでに対外作戦立案者ら幹部4人を殺害した、という。

 米情報機関は同組織が欧州でのテロを計画しているという情報を入手し、オバマ大統領がこれを強く懸念、国防総省の反対を押し切って作戦に踏み切った。作戦空域は地中海沿岸に設置されたロシアの防空システム内にあり、またロシア軍機との偶発的な衝突を回避するため、暗殺作戦の発動時には事前にロシア側に通告している、という。

 いずれにせよ、旧ヌスラ戦線をどこまでたたくかはトランプ政権の発足後に決定されることになるが、トランプ氏が取り沙汰されているようにロシアのプーチン大統領と軍事協力で合意すれば、反体制派は泣き、アサド大統領はさらに笑うことになるだろう。

  
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