オトナの教養 週末の一冊

2016年12月22日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 昨年、埼玉県北本市の公立中学校が給食費を3カ月以上滞納する家庭の生徒に対し給食の提供を中止すると報じられた。これに対し、世間の反応は「保護者のモラルが欠如している」といった批判が相次いだ。果たしてこの裏側にはどのような問題が隠れているのか。

 『給食費未納 子どもの貧困と食生活格差』(光文社新書)を上梓し、子どもや女性の貧困等の調査研究を行っている鳫(がん)咲子・跡見学園女子大学マネジメント学部准教授に給食費未納と、その対応方策について話を聞いた。

――今年、三重県鈴鹿市の教育委員会が野菜の高騰により給食を2日間中止するとの方針を示し、その後撤回すると報じられました。また大阪市では給食費の滞納分を弁護士が回収し、回収額に応じた出来高制で報酬を支払う制度が11月から実施されるなど給食費未納が問題化しています。子どもと女性の貧困を研究している立場として、これらのニュースを聞いた時、どんな印象を受けましたか?

鳫:鈴鹿市のケースは、保護者や児童がいかに学校給食を頼りにしているか示していると思います。しかし、横浜市などを始め、全国の公立中学校では未だに主食、おかず、ミルクの揃った完全給食が実施されていない地域が2割ほどあります。そうした事実を知ったら、皆さんもっと驚くのではないでしょうか。 

――確かに、小中学校共に給食のある地域で育った私も、給食が実施されていない中学校が2割もあると本書で初めて知り驚きました。しかも、本書によれば給食のない地域の子どもたちの中には、朝食を家で食べず、昼食のお弁当も持参していない子どもも少なくないと。成長期で一番お腹が空くはずの中学生がどのような食生活を送っているのかとても心配になりました。

鳫:弁当を持たせない保護者は昼食代として数百円のお金を渡し、子どもは給食並みに栄養の整ったお弁当を買うかわりにスナック菓子などで表面上お腹を満たす可能性があります。中には昼食代も渡していないケースもあります。

 また、パートに出ているお母さんも多く、お弁当を用意することは難しいのが実情です。また、夏季は弁当が痛みやすいなどの問題もあります。

 一方で、デコ弁に代表されるような手の込んだ弁当を作る保護者も中にはいて、食生活格差が大きくなっているのではないかと考えられますね。

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