報道にはすべて裏がある

2017年1月3日

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 新しい年が明けた。2017年だ。

 元日の朝、客もまばらなコンビニで、新聞各紙を買いそろえてみた。残念なことに、いずれも目立ったスクープはない。あえていえば、読売が「中国 海底に命名攻勢」との見出しで、中国が日本の排他的経済水域周辺で海底地形の調査を行い、国際機関に中国語による命名の申請を活発に行っていたという記事くらいか。朝日や毎日は、それぞれ「試される民主主義」、「多文化主義の危機」とトランプ現象に見舞われた米国社会の病巣を描く記事を一面に掲載していた。いずれも読むと、いい記事なのだが、目を引くようなものではない。

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新聞のスクープは終わったのか?

 もはや新聞はスクープで勝負する時代ではなくなったということか。昨年は週刊文春によるスクープの連発が注目された一方で、その他のメディアがスクープから手を引く傾向が露になった年だった。調査報道の朝日の看板だったはずの特別報道部もぱっとしなかった。私の親しい記者もこの部署にいるが、酒を飲んでは覇気のない部内の空気を愚痴ってばかりだった。

 スクープは競争相手がいるからこそ、次々と出てくるもの。文春一強時代のような現状は、決して望ましいものではない。新聞も雑誌もどこの編集部でも、経費削減で取材にカネをかけないようにする傾向が強まる一方だから、業界で最もふんだんに経費を使っている文春にスクープで対抗できるような媒体が出て来るのは、難しいだろう。昨年の文春の成功は、スクープの時代の終わりの始まりなのではないか。

 そうした悲観的な業界関係者の嘆きはともかくとして、新しい年はどんなニュースに注目すべきであろうか。国際情勢について見ていきたい。まず、当然のことながら、今月20日に米大統領に就任するドナルド・トランプ氏の打ち出す新政策の行方について。今年一年を占う上で、極めて重要で、為替相場や対中政策など、いずれもトランプ氏がどう出るか、不確定な要素も多く目が離せない。

 なかでも私が注目しているのは、沖縄の基地問題への影響だ。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画をめぐり、日本政府は沖縄県と争ってきた裁判で、最高裁判決を勝ち取り、中断していた辺野古での工事を新年早々にも再開する予定だ。打つ手がなくなり、追い込まれつつある翁長雄志県知事は、2月にも訪米してトランプ氏本人、あるいはその側近に直接、この計画への反対を訴えたいとしている。

 大統領選のキャンペーン期間中に、トランプ氏が在日米軍の撤退もあり得るとの発言をしたことに、突破口を見いだそうとしているのだ。トランプ周辺にアクセスするルートがうまく作れず、この直訴が実現するかは不透明だが、トランプ氏の鶴の一声で、辺野古移設計画に大きな変更が出れば、またもやこの問題が漂流することにつながりかねない。

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