使えない上司・使えない部下

2017年1月19日

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吉田典史 (よしだ・のりふみ)

ジャーナリスト・記者・ライター

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年から、フリー。
主に、人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。『悶える職場』(光文社)、
震災死』『あの日、「負け組社員」になった…―他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)『封印された震災死』(世界文化社)など。

 今回は、労働組合・東京管理職ユニオン委員長の鈴木剛さんを取材した。

 日々、多くの会社員などから労働相談を受ける。その多くは、上司からのパワハラやいじめ、退職強要などである。賃金の不払い、不当な解雇やセクハラなども少なくない。最近は、上司をいじめる部下もいるという。その裏には、あいまいな人事評価システムなどがある。その評価システムを悪用する会社もあり、もはや、カルト化しつつあるようだ。

上司をいじめる、粘着質な部下

(iStock)
 

 「使えない部下」を通り越し、「困り果てた部下」がいます。最近も、そのような部下について労働相談を受けました。相談に現れたのは、大手の金融機関に勤務する50代半ばの男性。愛社精神旺盛で、仕事もできる方です。ある地域を統括する所長をしていました。

 こんな優秀な方が、部下である40歳前後の男性からいじめを受けているのです。男性はそのエリアに20年近く勤務している、現地採用の社員。役職はないのですが、管理職以上の力をもっているそうです。同僚や後輩、ときには所長にも、激しく言い返したりします。前々から周囲に攻撃的で、ブイブイと言わせてきたタイプのようです。

 歴代の所長は、男性社員に深入りはしなかったのです。摩擦を起こしたくなかったのでしょう。この所長は、正義感も責任感も強い。だから、男性の問題行為を黙認できなかった。注意指導をしていくと、しだいに反撃をし始めたのです。

 企業内労組に「上司である所長からパワハラを受けている」と相談に駆け込み、針小棒大に騒ぐ。所長が身に覚えのないことまで吹聴する。インターネットに所長のことを匿名で書き込む。内容は、同じ職場にいないと書けないようなことなのです。誹謗中傷で、名誉棄損に近い。このように、様々なトラブルを仕掛けては所長を攻撃するのです。

 所長は、「こんな部下がいて、困っている」と上司である支社長に報告をしました。しかし、男性があまりにも騒ぐから、支社長は所長を本社に異動させたのです。男性は依然として、非管理職のまま、隠然たる力を持ち、居座っているようです。

 男性は、本社採用のエリート層に嫉妬心があるのか、上司に逆らい続けます。粘着質で、よこしまな考えで、「困り果てた部下」です。

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